冷間鍛造と熱間鍛造の違い

2012年11月12日更新

鍛造とは、平たく言えば金属などの材料を叩いて、組織を緻密にし、強度の高い部品や部材を作る加工技術です。イメージとしては鍛冶の原理に代表されるように、ハンマー(ツチ打ち)等の工具でトンカン叩いていくことが基本となりますが、このときに常温で叩いていくのか、高温に熱して叩いていくのかというのが、この冷間鍛造と熱間鍛造の違いとなります。

現在では鍛造は昔の鍛冶仕事と違い、ほとんどが機械加工によるもので、人が加えることが出来ないほどの荷重や衝撃を、継続的に材料に与えることができるようにもなりました。「鉄は熱いうちに打て」という格言をイメージするとわかりやすいですが、本来は加工するために熱を加えないと十分に変形させたり、組織を緻密化させることが難しかったのですが、現在では熱をかけず、常温でも非常に大きな力を加えることで鍛造品を作ることが可能になっています。

冷間鍛造のメリットは、精度の高さがまず挙げられます。鉄鋼材料を高温で加熱して鍛造すると、金属組織は緻密になりますが、部品として精度はあまり出せません。

極端な例ですが、粘土をイメージするとわかりやすいかもしれません。高温を加えられた鉄は、やわらかくなっており、いわば粘土に打撃を加えて形状を作っていく様に似ています。変形後、冷却によって固まるため、熱間鍛造では精度が出辛く、また表面の粗さも粗いものになります。加工はしやすく、鍛造の回数も冷間に比べると少なくてすむという特徴があります。

冷間鍛造は手間や技術が必要なため、比較的小型の部材や部品に適用されることが多いようです。ただ変形にはより大きな力が必要になります。

スポンサーリンク

>「冷間鍛造と熱間鍛造の違い」についての先頭へ

「冷間鍛造と熱間鍛造の違い」の関連記事

鍛造と鋳造の違い
鍛造加熱温度の目視による測定
鍛造の加熱温度
鍛造用鋼材、鍛造に使う特殊鋼とは
鍛造用鋼材、鍛造に使う炭素鋼とは
鍛造の種類
鍛造のメリット、長所
鍛造機械のタイプ

砥石からはじまり、工業技術や工具、材料等の情報を掲載しています。製造、生産技術、設備技術、金型技術、試作、実験、製品開発、設計、環境管理、安全、品質管理、営業、貿易、購買調達、資材、生産管理、物流、経理など製造業に関わりのあるさまざまな仕事や調べものの一助になれば幸いです。

このサイトについて

研削・研磨に関わる情報から、被削材となる鉄鋼やセラミックス、樹脂に至るまで主として製造業における各分野の職種で必要とされる情報を集め、提供しています。「専門的でわかりにくい」といわれる砥石や工業の世界。わかりやすく役に立つ情報掲載を心がけています。砥石選びや研削研磨でお困りのときに役立てていただければ幸いですが、工業系の分野で「こんな情報がほしい」などのリクエストがありましたら検討致しますのでご連絡ください。toishi.info@管理人

ダイヤモンド砥石のリンク集

研磨や研削だけでなく、製造業やものづくりに広く関わりのあるリンクを集めています。工業分野で必要とされる加工技術や材料に関する知識、事業運営に必要な知識には驚くほど共通項があります。研削・切削液、研削盤、砥石メーカー各社のサイトから工業分野や消費財ごとのメーカーをリンクしてまとめています。

研磨、研削、砥石リンク集