デニール(D)、デシテックス(dtex)、繊維径(mm、μm)の換算

2021年1月12日更新

デニールは繊維の太さを表わすための単位ですが、現在は大半の用途でテックスの単位が代わりに使われるため、デニールはテックスやデシテックスに換算されることが一般的です。テックスは国際単位系ではありませんが、ISO 2947「Textiles, Integrated conversion table for replacing traditional yarn numbers by rounded values in the Tex system」で定義された単位で日本のJIS規格でもこの流れを受けて「JIS L 0101 テックス方式」として繊維の太さを表わす単位として規定されています。

デニール(D)、デシテックス(dtex)の違いと換算式

1テックス(tex)は10デシテックス(dtex)となりますが、1デニール=10/9 デシテックスの換算式が成り立ちます。デニールは9000メートルの重さが1グラムの糸の太さを意味しており、テックスは1000メートルの重さが1gの糸の太さを意味しています。

ある決まった長さに対しての重さによって太さを表現しているわけですが、この方式を恒長式番手と呼び、化学繊維のほとんどはこの方式で繊維や糸の太さを定義しています。繊維の太さを一律に定義するのは、その断面形状が複雑で、内部に空気が入っていたり、中空層があったりと実質困難なため、「直径」のかわりにこの単位で繊維の太さを表わします。

デニール(D)、テックス(tex)、デシテックス(dtex)の換算式は以下の通りです。

  • 1テックス = 10デシテックス = デニール × 0.1111
  • 1デニール=10/9 デシテックス

また、テックス方式におけるtex(テックス)、mtex(ミリテックス)、dtex(デシテックス)、ktex(キロテックス)換算式は以下となります。

  • ミリテックス=1/1000 × テックス
  • 1テックス=1000ミリテックス
  • 1テックス=10デシテックス
  • デシテックス=1/10 × テックス
  • 1キロテックス=1000テックス

デシテックス表示方法

デニールからデシテックスへ換算する際は、小数点以下が出てきますが、これをどのように丸めるかについてはいくつか方法があり、小数点以下4桁で統一表示している例もあれば、以下のルールに則っている例もあります。

デシテックス表示方法、単位丸め方の例
デニール デシテックスの表示方法
1デニール以下 有効数字2桁目を四捨五入し、1桁に丸める
1から9デニール 有効数字3桁目を四捨五入し、2桁に丸める
10から99デニール 有効数字3桁目を四捨五入し、2桁に丸める
100から999デニール 有効数字3桁目を四捨五入し、2桁に丸める
1000デニール以上 有効数字4桁目を四捨五入し、3桁に丸める
 

使用される業界によって実務上は混在して使われています。

繊維径へは換算できるのか

ではデニールやデシテックスで表示されている各種繊維の直径、いわゆる繊維径はどのように換算されるのでしょうか。

結論から言えば、繊維径とデシテックス、テックス、デニールを換算式にあてはめることが困難です。

理由は上述の通り、実際の繊維の断面はその形状が複雑で一定でもなく、繊維の種類ごとに異なるためです。実際の繊維径をどのように調べるかといえば、化学繊維であれば各メーカーの公表しているデータを見るということになります。

このように繊維の種類によっては製法上直径をコントロールできるため、調べることができますが、同系統の繊維でも必ずしも同一直径というわけではないため、製造元のデータを調べるしかありません。ただし断面形状が星形の繊維や楕円上の繊維、ギザギザ、あるいは他の異形のものもあり、これらについては直径という概念では計測不能です。

天然のものになると繊維径のばらつきはコントロール困難ですので、おおよそ、という程度になりますがこちらも同系統の繊維が同じ径とは限りません。

繊維の種類と特徴

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