ADC12の機械的性質、比重、成分、熱伝導率など|アルミダイカストの特徴
ADC12はアルミダイカストとしては機械的性質、被削性、鋳造性いずれも高いレベルでバランスのよい合金タイプです。アルミダイカストの生産量のうち、おおよそ90%以上がこのADC12といわれており、ほとんどが自動車用部品に使われています。このため、流通性もよく、価格や入手のしやすさの面でも有利な材料です。しいて苦手な面といえば、耐食性、陽極酸化処理性、化成被膜処理性などがあげられます。ただ電気めっき性はとても良好です。類似合金としては、383.0が相当します。
ADC12の特徴
切削にも向いている為、削りだしが必要な部品や製品にも使われます。なお、10種と12種はアルミニウムが使われる部位であれば特殊な要求があるものを除き、ほとんどの部分に適用が可能です。
自動車では、エンジン部品から駆動系部品、ケーシングなどのケースやカバーなど幅広く使われる為、例えば、ウォータポンプカバー、オイルポンプ、ブラケット、カム、シャフトベアリングキャップ、シリンダブロック、チェーンカバー、インテークマニホールド、トランスミッション、トルクコンバータステータ、ホイルキャップ、サイドミラー、シートフレーム、トランスミッションカバー、パワーステアリングポンプ、ピストンなどへ使われます。
パラメータのバランスがよいため、バイクや雪上車などのほかにも、他のエンジンまわりの部材やシリンダーまわりの部材にもよく使われます。
ADC12の比重
ADC12の比重は2.68となります。
ADC12の成分、組成、材質
| 種類 | 成分 | |||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| Cu | Si | Mg | Zn | Fe | Mn | Cr | Ni | Sn | Pb | Ti | Al | |
| ADC12 | 1.5から3.5 | 9.6から12.0 | 0.3以下 | 1.0以下 | 1.3以下 | 0.5以下 | - | 0.5以下 | 0.2以下 | 0.2以下 | 0.30以下 | 残部 | 
ADC12の機械的性質|引張強さ、伸び、耐力、衝撃強さ、せん断強さ、硬さ
| 種類 | ADC12 | 
|---|---|
| 縦弾性係数(ヤング率) GPa  | 
71.0 | 
| 引張強さ MPa  | 
310 | 
| 耐力(0.2%変形) MPa  | 
150 | 
| 伸び(50mmでの) %  | 
3.5 | 
| 衝撃強さ kJ/m2  | 
81 | 
| せん断強さ MPa  | 
- | 
| 疲れ強さ MPa  | 
- | 
| 硬度 HRB  | 
54 | 
ADC12の熱的性質、電気的性質|比熱、熱伝導率、熱膨張係数、凝固温度、電気伝導率
| 比熱 J/(kg・K)  | 
- | 
|---|---|
| 熱伝導率 W/(m・K)  | 
96 | 
| 電気伝導率(銅基準) %  | 
23 | 
| 熱膨張係数(293から473K) | 
21x10-6/K | 
| 凝固温度 ℃  | 
582から515 | 
アルミダイカストの一覧|JIS規格
スポンサーリンク
>このページ「ADC12の機械的性質、比重、成分、熱伝導率など|アルミダイカストの特徴」の先頭へ
- 加工材料の性質と特徴(目次)へ戻る
 - アルミダイカスト(ADC材)の成分と種類、特徴(目次)へ戻る
 - アルミニウム鋳物(鋳造品)の種類と特性
 - アルミニウムの調質、質別記号の一覧
 - 鋳造と鍛造の使い分け
 - 鍛造と鋳造の違い
 - アルミニウム合金の特性と種類、用途
 - 非鉄金属材料の種類
 - アルミニウムメーカー(アルミ合金、アルミ製品メーカー)
 - アルミニウムの比重、密度の一覧