英語での安全標語の例|工場で使用する安全標語

2021年10月24日更新

安全標語は英語ではsafety sloganと呼ばれますが、その事例は枚挙にいとまがないほど多数あります。工場をはじめ、建設を含むさまざまな作業現場、交通、事務所、学校、病院などおよそ人が働く、活動する場所には何らかの危険源が潜み、予想もしなかったところから労働災害や事故、怪我につながることもあります。このページでは安全標語の目的や英語での例、作り方についてご紹介いたします。

安全標語の根幹にある10原則の考え方

高いレベルの安全管理で世界的に知られるデュポン社は安全10原則を200年以上前に制定し、多くの企業のモデルケースにもなっていますが、これ自体がスローガンの趣を持つものもありますが、以下参考までに掲載します。

ここに掲げられている原則は、標語やスローガンを作るうえでの根っこの部分にある考え方になりますので、これらを踏まえたうえで啓蒙や啓発をするのに有効な「言葉」を探していくことになります。

安全に作業できる仕組み、事故が起きようのない現場を作るためには、以下の8にもある通り人がカギになりますが、人の安全に対する意識もやはり最後まで重要な点に変わりなく、だからこそその意識を高め維持していく工夫(例えば安全標語での啓蒙)も必要となります。

デュポンの安全10原則

1) 全てのケガ及び職業病は防ぐことが出来る
All injuries and occupational illnesses can be prevented
2) マネジメントはケガおよび職業病の防止に直接責任がある
Management is responsible and accountable for preventing injuries
3) 作業に伴うすべての暴露は防止することができる。
All operating exposures can be controlled
4) 安全は雇用の条件である
Safety is a condition of employment
5) トレーニングは職場の安全を確保する基本的な要素である
Training employees to work safely is essential
6) 安全監査を実施しなければならない
Management audits are a must
7) 安全上の欠陥は全て直ちに改善しなければならない
All deficiencies must be corrected promptly
8) 安全プログラムを成功させるためにもっとも決定的な要素は人である
People are the most important element of a safety and health program.
9) 勤務時間内だけの安全でなく、勤務時間外の安全も同様に重要である
We will promote off-the-job safety for our employees
10) 安全は引き合う仕事である
Safety is good business

安全がすべてに優先するというスタンダード

製造業をはじめ多くの職場では安全がすべてに優先するという出発点から入るほどに重要な事柄で、現場でのあいさつ「ご安全に」という言葉にもそれは色濃く出ていますが、どれだけ優れた品質やコストに優れた製品だろうと、その製造現場で事故が多発しているようなものは社会には受け入れられないということはだいぶ浸透してきています。

職場の安全衛生を管理監督、啓蒙、対策支援等を行う専門部署を持つ会社が多いのもこれが理由です。昨今はグローバル展開している企業も多く、英語で安全標語を作ったり作ってもらったり、あるいはコンテスト形式で優れた標語に賞を授与したり、といったことも良く行われています。英語であっても日本語であっても考え方は同じですが、表現の仕方や伝え方には違いがありますので、言語や文化による違いも踏まえた効果的なスローガンを作成したいところです。

いかに参加してもらうか、自分のこととしても意識していもらうかという点が重要であることから、社員一人一人が安全標語を必ず作るという習慣を持つ会社もあります。また毎月安全上の目標を定めて啓蒙・注意喚起をはかっていくため、毎月安全標語を変えて運用している会社もあります。

安全標語を作る目的

安全標語を作る目的は、安全意識を高め、ひいては職場での事故や災害を抑制するためです。また、会社で取り決められている安全に対するスタンスを浸透させるという役割を担うこともあります。

啓発目的として使うため、以下のような点が重要なポイントとなります。言葉は受け取る側が自由に解釈できる性質があるので、どのように受け止められるかという視点を忘れずにいたいところです。

またその標語が何を対象にしているか、どこの職場や現場なのかというのも啓発面では重要です。製造業であれば、実際に使っている設備や治工具に根差したスローガンも効果的です。

事故が散見される場所や状況には、枚挙にいとまがありませんが、一例を挙げれば、転倒、落下、巻き込み(巻き込まれ)、切断、角にぶつける、無理反動、目にゴミ・異物が入る、フォークリフト等の事故、構内の運転事故等があります。

標語やスローガンの要件

  • 目標を練り込んで、特に何に注意すべきか関係者に周知徹底する
  • インパクトがある、印象に残る
  • 短くて覚えやすい、耳に残るフレーズ
  • 疑問形にする等標語を読んだ人、聞いた人に考えさせる
  • 長すぎないか、読みにくくないか、用語が適切か
  • 役に立つ知識も入っている
  • 韻を踏ませたりユーモアも織り交ぜる

個人の安全に対するコミットメントや自分自身で定めた安全宣言をメールの署名欄に記載することもアメリカをはじめ諸外国の会社ではポピュラーな方法の一つです。

また知恵を絞って考える過程で、安全に対する自分自身の意識を見つめなおしたり、安全環境について見直したり、周囲を見渡したりすることにもつながりますので、安全標語を作る、安全宣言を個々の社員がそれぞれ行うことは有効な活動と認知されつつあります。標語だけでなくポスターとあわせて、表彰を行う制度を作っている会社も多々あります。イラストは啓蒙の面ではかなり効果的です。

英語での安全標語(safety slogan)の事例集

日本語での安全標語は5・7・5のリズムや単語を組み合わせることもありますが、英語でもリズミカルであったり、韻を踏んでいるものは人気があります。英語では、かしこまった言葉というよりは、普段使う卑近な言葉を使ったり、ユーモアも織り交ぜたりすることが日本語のものよりも多い印象を受けます。

以下の英語での安全標語の事例を列挙していきます。

Safety first, Quality must.
安全第一、品質は必須。安全と品質という製造業にとって重要となる両輪をかけた標語。昨今はこれに環境やコンプライアンスが入ることもある。
Safety is our No.1/TOP Priority
安全は我々の最優先事項。安全がすべてに優先することを経営方針に盛り込んでいる会社ではよくみる標語。
Safety first, safety last.
安全は最優先で、最後まで続く。安全にはじまり、安全に終わる。
Safety is priceless so is your life.
安全はプレイスレス。あなたの人生も。
The Key To Safety Is in Your Hands.
安全へのカギはあなたの手の内にある。主体が自分自身にあることを強調するスローガン。
Safety is a requirement of the job - not an option.
安全は仕事の必須条件(要件)。任意条件ではない。
Don't depend on luck.
運に頼らないで。日本語でも、「〜だろう」運転ではなく、「〜かもしれない」運転を心がけるというのは以前から言われており、これに通じるものがある。
Just Because You Always Did It That Way - Doesn't Make It Right
いつもあなたがどの方法を使っているかと言ってそれが正しいとは限らない
KISS - Keep it Safe and Sound
何事もなく無事に。KISSはKeep It Short and Simple(簡潔で単純にしなさい)の略でもあり、これにかけている。
Near Miss? Don't Ignore It - Report It
ヒヤリハット?無視しないで、報告して。
Never Give Safety a Day Off
安全に休みを与えてはいけない
Our Mission is an Accident Free Condition
我々のミッションは事故・災害ゼロの環境づくり
Personal Protective Equipment is Self Defense
個人の安全保護具は自己防衛のためのもの
Safety is a Choice You Make
安全はあなたの選択の結果。
Safety glasses: All in favour say“Eye!”
公的機関で多数決をとるときに使う決まり文句である"All in favor say aye"(賛成の方はエイと言ってください)と眼を意味するEyeをかけたユーモアのある安全標語。安全眼鏡に言わせている形をとっている。
Eye Protection is cheap, Eyes are priceless.
眼の保護装備は安いが、眼は価格がつかない(一生もの)
Prepare & Prevent Instead of Repair & Repent
修理や後悔ではなく、準備と予防を
Safety requires teamwork. Be part of our team.
安全にはチームワークが必要。我々の一員に。
Only fools ignore safety rules.
愚かものだけが安全ルールを無視する
Don't break a hip; clean up spills before you slip.
腰をこわさないで。こぼれたものは転ぶ前に掃除を。hipとslipで韻を踏んでいる。
Safety rules are your best tools.
安全のルールはあなたの最高のツール。
Work Safely, you may not get a second chance.
安全に働かないと、次のチャンスはない=事故や災害を起こすと取り返しがつかない、ということを表現。
Don’t let Carelessness determine your fate, always work safe.
不注意にあなたの運命を決めさせてはいけない、いつも安全に。
Safety is a cheap and effective insurance policy.
安全は安くて効果的な保険
Some have eyes and cannot see. Some have ears and cannot hear so be wise and wear your safety gear.
眼があっても見えない人がいる。耳があっても聞こえない人がいる。だからあなたは賢く、安全装備を身に着ける
Do your work with pride, put safety in every stride
誇りをもって仕事に取り組んで、でも安全をいつもあなたの側に。prideとstrideが韻を踏むようにしたスローガン。
Safety isn’t a slogan; it’s a way of life.
安全はスローガンではない、生き方のひとつ。
Practice Safety today for a better tomorrow
よりよい明日のために今日の安全実施を
Safety: A small investment for a rich future
安全は豊かな未来への小さな投資
Safety is caring for others.
安全は他者への気遣い
SAFETY is NO ACCIDENT
安全は事故がないこと
Know Safety, No Accidents
安全を知り、事故をなくそう。KnowとNoで韻を踏ませている。
I commit to practice and promote safe work habits in an effort to achieve ZERO accidents.
事故0を達成するため、安全な仕事の習慣を実践&促進させます
We aim to make every day a safe day.
毎日を安全な日にしましょう
Safety is success by purpose, Not Accident.
安全は目標に向かう決意によって達成される、事故によってではない
One Team, One Vision, Zero Injuries.
ひとつのチーム、ひとつのヴィジョン、怪我はゼロ。
Safety is my 1st priority because it ensures the safety of my fellow associates.
安全は私の最優先です。私の同僚の安全を確たるものにするからです。
At the end of the day, the goals are simple: safety and security.
毎日の終わりに向けてのゴールはシンプルです。安全と安心です。

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