稼働率と可動率の英語表現と違い

2022年1月11日更新

稼働率と可動率は英語でいうとそれぞれOperating RateとOperational Availabilityとなり、その違いを以下にまとめていきます。この用語はトヨタ生産方式の考え方には欠かせない概念の一つです。

なお、読み方はどちらも「かどうりつ」となりますが、日本語においては口頭での会話で区別がつかなくなるため、可動率のことを「べきどうりつ」、稼働率のことを「かどうりつ」と使い分けることがあります。見ての通り、同じ読みでも意味するものが全く違うことが分かります。

稼働率と可動率の英語表現と違い|目次
  1. 稼働率
  2. 可動率

稼働率(Operating Rate、Rate of Operation、かどうりつ)

ある設備や機械がフル稼働時の能力に対して実際に稼働させた比率のことです。トヨタ生産方式では、後工程に必要な(販売に結びついた)生産量を加工するのに、その設備能力でフル操業した時の定時能力に対する生産実績のことでもあります。

売れ行きによって、稼動率は決まるため、売れなければ稼働率は下がっていきます。反対に注文が増えて残業や休日出勤すれば稼働率120%といったことも起きます。

稼働率の高さ低さというのは、必要数(受注数)に対して生産計画における設備選択や設備の数の問題となります。いわゆる負荷計画の問題で、生産計画立案の時は、なるべく多くの設備が100%になるように製品の製造を割り振るということになります。

なお、100%を超えると定時間内では作り切れなくなるため、残業や休日での作業が必要となり、時間単価が上がります(24時間365日稼働前提の設備なら、100%を超えた分は作れなくなります)。投資した設備を使い倒すという観点からは法令や人員シフトが許す限り稼働させたほうが良いとなりますが、マンアワー生産性は落ちることになります。

稼働率を英語で説明するなら、次のような定義となります。

"Operating Rate is the ratio of the products being produced to the full capacity of the equipment running at standard operating hours."

可動率(Operational Availability、べきどうりつ)

設備や機械を動かしたいときにいつでも動かせる状態にあるかどうかを見るのが可動率です。故障や金型の入れ替えなどの段取り替えで停止している時間が差し引かれて計算されることになります。稼働率と違い、上限は100%となりますが、常に100%を理想とするもので、注文がきてもフル稼働できないのであれば稼働率がいくら高くても意味がありません。企業によっては稼働率のなかに可動率の概念も含めていることもありますが、トヨタ生産方式ではこれを明確に区別して使い分けます。

設備を運転したい時(かんばんが来た時)に、正常に動いてくれる状態の確率のことを意味するのが可動率です。

この率は、設備とその保全によってもたらされる信頼性のことでもあります。また段取り替えの時間短縮が進んでいないと設備が稼働できる状態にならないので、チョコ停も含めて如何に設備停止の時間を短くするかというのが可動率向上のカギとなります。

可動率を英語で説明するなら、以下のような定義になります。

"Operational Availability is a measure of the reliability of equipment. Operational Availability is expressed as the percentage of time that the equipment can operate properly when it is needed for production."

設備投資の効率をもっとも高めて生産効率を上げる理想とすべき状態というのは、可動率が常に100%であり、稼働率が100%を超えてなるべく高い状態にある、というのが設備を最大限有効活動できているということになります。つまるところ、設備が遊んでいる、休んでいる時間が全くないという状態です。

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