試作図、計画図、量産図の違い

2015年3月10日更新

自動車部品メーカー視点から見た場合、車に使われる部品の図面というのは、大きく3段階のステップを踏んで、はじめて量産用の図面となります。量産図とはすなわち、客先から承認された承認図でもあります。

まずは試作品を製造・検討するための試作図からはじまり、新設情報を入手したのちに手配される計画図は、製品形状や機能構造などを計画するために用いるためのもので、これが発行されると、生産方法や製造上の問題点の検討を行ったり、生産場所などを検討する活動が開始されます。

さらに、客先となる自動車メーカーから外設申を受領し、計画から量産への対応を具体化するため、量産図用手配書を発行することになります。 外設申=外注品設計申入書(RDDPとも言います)であり、これは客先である自動車メーカーから発行される帳票のひとつで、部品開発を依頼し、承認図を作成してほしいという依頼でもあります。つまり、これによって量産図を出図するということになります。なお、これを受領すると客先が管理する品番も、「試作品番」から「号口品番」に変わります。

部品メーカー視点で見た場合の「量産図」というのは、いわゆる客先である自動車メーカーから承認された「承認図」となるものでもあり、最終的な「正式図」の一種となります。

まとめると、承認図となる量産図が出るまでの流れは、試作図(見積もり図)⇒計画図⇒量産図となります。

ただ、同じ部品メーカーでも会社によって使う用語が異なることがある点に注意が必要です。

製図に関する用語というのはJISでも規定されていますが、自動車業界ではここで定義されている製図用語とは異なる独特のものもあります。

参考までに、JISによる製図用語での各図面の定義は下表のとおりとなります。

図面の用語定義|JISでの製図用語
図面の種類 英語 内容
見積図 estimation drawing 見積もり内容を依頼者へ示すための図面。
試作図 prototype drawing 製品または部品の試作を目的とした図面
計画図 scheme drawing 計画図とは、設計の意図、計画を表した図面
製作図 production drawing 設計データの基礎として確立され、製造に必要なすべての情報を示す図面。
工程図 process drawing 製作工程の途中の状態や一連の工程全体を表す製作図
承認用図 Drawing for approval 注文書などの内容承認を求めるための図面。
承認図 approved drawing 注文者などが内容を承認した図面

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