PoAのテンプレートとフォーマット

2022年1月23日更新

PoAとは委任状を意味し、Power of Attorneyを略したものです。委任状は様々なシーンで使用しますがここではサンプルとして貿易における通関業務の委任状、原産地証明書発行の委任状、第三国への直送指示の場合にインボイスへの署名権限の委任状と、議決権代理行使の場合の委任状の英語でのテンプレートをご紹介いたします。委任状は、委任者が受任者に対して自分の持つ権限の一部または全部を駆使し一定の行為をするよう委任したこと(代理権を授与したこと)を証明するものとなります。

PoAのフォーマット形式

構成としては、The undersignedにて記載した当事者が本来の権限を持ち、hereby gives authority toの下に委任したい相手を記載します。その下に続けて、委任する内容を記載します。この際、曖昧な表現を残さないよう注意して記載します。

継続して使うものであれば、委任する期間と、更新するための取り決め等も記載しておくとよいでしょう。安全性の面からは、1回の案件ごとに委任状を発行し、その案件以外には権限を与えないというほうがよいでしょう。つまり、なるべく委任する範囲を限定的にするということになります。

委任する相手先を空白にしてしまうといわゆる白紙委任状となり、委任する権限を明記しないと如何なる内容についても委任権限を与えてしまうことになりますので、委任する相手と与える権限、その期間については漏れなく記載する必要があります。英文の場合は、原紙に直接サインしてはじめて有効になります。状況によってはレターヘッドもうまく使うとよいでしょう。

貿易における通関業務の委任状の英語フォーマット

日本国内でも必要ですが、これは諸外国でも必要で、例えばグループ会社間での貿易を行っていても、DDPやDDU条件の取引のため、輸入側に無断で通関業者を変えてしまうと、委任状がないので通関業務ができずに止まってしまうことがあります。各国の通関業法に相当する法令や規則とその国のフォワーダや通関ブローカーとの商慣習に則って事前に提出することになります。

ほとんどの通関業務の代行業者は自前のフォーマットを持っていますので、請求すれば社名と日付だけ記載すればほぼ成立する内容の通関委任状をもらえます。

クーリエの場合は、いわゆる依頼主から納入先までDoor to door(和製英語)のサービスを提供しているので、依頼主の輸出通関から輸入側の国で必要になる輸入通関まで実施する関係上、PoAの提出が必要となり、クーリエ各社のウェブサイトから専用ダウンロードが可能なのでそちらを使うことになります。

下記の委任状の例では、Toishi Company LimitedがABC logistics company limitedという通関業者へ輸出入にかかる一切の業務委任する旨記載されており、記載された日付から1年間の有効期限のものとなります。

Date: 19 August 2022

POWER OF ATTORNEY

The undersigned,

Name : Taro Yamada
Position : President
Company:  Toishi Company Limited

hereby gives authority to:

Company : ABC logistics company limited

on behalf to do and perform the following:

1. To act as my agent for all necessary procedures relating to import and export and execute import and export proceedings.

This Power of Attorney shall become effective from the date above and remain in full force and effect for an initial term ending one (1) year after the date above.

19 August 2022

Signature

: Toishi Company Limited

Agreed to and accepted by:

19 August 2022

Signagure

ABC logistics company limited

第三国への直送指示の場合にインボイスへの署名権限の委任状

これはあまり遭遇することがない事例かもしれませんが、例えばA国とB国との貿易を行っており、A国がバイヤー(買い手)で、B国がセラー(売り手)で自社が売り手の立場とします。A国の注文内容で、C国へ直送してほしいというものがある場合、B国→C国へのインボイスに手書き署名が要求される国があります(ブラジル等)。このとき、A国からの委任に基づき、B国のセラーがインボイスの署名する権限が必要となるため、こうした委任状が必要になるケースがあります。

下記の委任状の例では、販売先であるToishi Company Limitedの依頼で、ブラジルに直送する案件のみ、輸出書類にABC company limitedはサインすることができる旨記載しています。

Date: 19 August 2022

POWER OF ATTORNEY

The undersigned,

Name : Taro Yamada
Position : General Manager of Sales department
Company:  Toishi Company Limited

hereby gives authority to:

Name : Yoshinori Sasaki
Position: General Manager of Export department
Company : ABC company limited

on behalf to do and perform the following:

In terms of trade between Toishi Company Limited and ABC company limited, to sign documents required for shipment exported from ABC company limited to Brazil.

This Power of Attorney shall become effective from the date above and remain in full force and effect for an initial term ending one (1) year after the date above.

19 August 2022

Signature

Toishi Company Limited

Agreed to and accepted by:

19 August 2022

Signature

ABC logistics company limited

原産地証明書発行の委任状の英語フォーマット

これは商工会議所に登録されている登録企業A社が海外の取引先のB社の製品の原産地証明書をかわりに発行する権限を委任されている事例です。このようなケースでは、商工会議所に対して英文の委任状が必要となります。

社名から判断して、A社とB社が親子会社とわからない場合、商工会議所に登録されている登録企業A社 on behalf of 海外企業B社」という記載の証明書発行の場合には、エビデンスとなる典拠書類としてB社からA社に宛てた原産地証明書取得についての委任状、L/Cのコピー(全文)などの添付が必要とされます。

Date: 19 August 2022

POWER OF ATTORNEY FOR INVOICE NO. 10009999

Toishi Company Limited hereby designates ABC logistics company limited as its representative to perform the following;

1. The execution of export proceedings

2. The preparation and execution of declaration documents (commercial invoice, packing list, certificate of origin, etc)

3. All declarations must be done with the exporter's title of "ABC logistics company limited on behalf of Toishi Company Limited"

This Power of Attorney shall become effective from the date above.

19 August 2022

Signature

General manager of export department

Toishi Company Limited

議決権代理行使の委任状の英語フォーマット

下記の例では、自社が株主であり、議決権を持っている代表取締役が自分にかわって指名した一人に議決権を委任する内容の委任状となります。議決権を行使する内容まで記載していますが、この内容の場合、ここで記載されている定時株主総会において結局全権を与えていることになります。

下記の委任状の例では、パスポートナンバーを指定したうえで限定した一人に対し、定時株主総会での議案の承認と取締役の選任、その他議案についての議決権を委任する旨記載しています。承認の指示以外のものについては、受任者となるIchiro Suzuki氏がどのような判断をしてもよい内容になっています。

POWER OF ATTORNEY

The undersigned,

Name : Taro Yamada
Position : President
Company:  Toishi Company Limited

hereby gives full authority to:

Name: Ichiro Suzuki
Passport number:

on behalf to do and perform the following:

To represent and vote on behalf of Toishi Company Limited at the Annual General Meeting of Shareholders of Toishi Indonesia ("Company ") to be held on 4 April 2022 with the following agendas:

1. To approve the Company's financial statements for the fiscal year from 1 January 2021 up to 31 December 2021.

2. To approve the appropriate of earned surplus for the fiscal year ended 31 December 2021.

3. To elect the members of the Board of Commissioners and Directors.

4. Other topics (if any).

3 April 2022

Signature

Toishi Company Limited

Agreed to and accepted by:

Date:

Signature

Ichiro Suzuki

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