輸出と輸入のインボイス保管期間

2022年5月8日更新

貿易に使用するインボイスは輸出用と輸入用とでいずれも5年の保管期間と定められています。ただし、輸入品についてはインボイスは5年でも、同等の内容を記した輸入帳簿については7年の保管義務があります。輸入帳簿とは、インボイスと同等の内容に加えて、輸出・輸入の許可日や許可番号が記載したものです。7年というのは、輸出許可や輸入許可を受けた日の翌日からカウントします。

輸出と輸入のインボイス保管期間|目次
  1. 実務では7年間の保管期間
  2. 事後調査にも使用

実務では7年間の保管期間

輸入帳簿はあえて作成しなくとも、貿易書類をそろえておけば用をなすという実情があり、輸出入の台帳をはじめとする帳簿類を作成していないこともあるかと思います。

こうしたことから輸出入の許可書(輸出許可通知書、輸入許可通知書)、インボイス、パッキングリスト、シッピングアドバイス、waybill(ウェイビル)、B/L(ビーエル)、CLP、注文書、コンテナ封止証明書、輸送業者への支払明細・業者からの請求明細といった貿易取引にかかわる書類は、7年間を保存期間と定めている会社が多いと思います。

貿易書類の中でもインボイスは取引金額や日にち、内容、数量、取引条件が網羅された書類です。他の書類を見ないとわからないこともありますが、送り状と請求書を兼ねるとともに輸出・輸入申告に必要な売買内容が網羅されている書類になりますので、なくさずにきちんと保管しておくことが肝要です。

なお、7年間というのは法人税法や所得税法でも注文書、契約書、送り状、領収書、見積書、またはこれらに準ずる書類と、こうした書類作成時に写しを作成している場合はその写しを保存することが必要と規定されていますが、そちらとも呼応しています。

また輸出入の記録を帳簿や台帳としてまとめていない会社の場合、インボイスに輸入/輸出許可の番号や日付を追記したものでも帳簿のかわりとできますので、上記の貿易書類を7年間保管しておけば、不備があった場合も最悪探せないことはないという状況にはできます。

つまり、輸出入の帳簿がなくても貿易書類を一切合切まとめて7年間保存しておけばよいということになります。管理上はこのほうが楽かもしれません。

事後調査にも使用

輸入と輸出といった貿易では、税関が事後調査(通称、じごちょう)といって、法令に適合した運用になっているか企業に訪問確認する制度があります。定期的に調査対象企業へアポを取って来訪される場合と、抜き打ちで来訪される場合とがあります。問題のあることを行っている企業の場合は、後者での来訪となる場合があります。

輸出の場合は、輸出貿易管理令をはじめとする輸出時に遵守が必要な法令をきちんと守ることができているかの確認を行います。調査としては比較的短時間で終わり、一般的な輸出貿易の知識や慣習に基づいて実施していれば大きな問題になることはなく、追徴金を課せられるということもほぼありません。

一方、輸入の場合は輸入品の税金(関税と消費税です)が適切に支払われているかを輸入後に確認するという税務調査のことになりますので、貿易量によっては1週間近くかけて数名の調査官が来社の上調査していくことになります。

申告内容が適切で関税の支払いや消費税の支払いが適切だったか、という観点から過去7年間のデータやその会社が保管している帳簿や貿易書類をもとに関係者へのヒアリングも行い、調査していきます。

輸入の場合は貿易量や貿易取引件数が多い企業だと、様々な取引があり、複数の部署に貿易部門がまたがっていることもあります。この場合、調査開始日までに貿易書類や帳簿類をどこか一室に集めておきます。

調査当日は会社代表の問い合わせ窓口となる部署や担当をおいておき、調査官の質問に対して応えられる部署や担当者への取次ぎを行うとスムーズです。

輸入の場合、かなり気を付けている企業であっても貿易にかかわる担当者すべてが関税法やその関連法を理解しているわけではないので、税金の支払額が過少に申告されてしまっていたり、申告漏れが発生することがあります。指摘を受けたのち、後日納付することになりますが、この際もエビデンスとなる貿易書類に基づいて調査・確認を行いますので、貿易書類を保存するルールが確立できていない場合、7年間は保管しいつでも取り出せるよう社内管理していく必要があります。

特に金型費を別払いしているケースや、輸送費の支払い責任を変えたいがために、価格をかえずにトレードタームだけ変えてしまうというようなことを行うと申告漏れや過少申告が発生しがちです。

またアンダーバリューも要注意で、サンプルだからという理由やグループ会社だからという理由での特別安い価格での売買はルール違反となります。例えば、本来1000ドルのものをサンプルということで1ドルの価格でインボイスを作成していたというようなケースです。

輸出、輸入インボイスや貿易書類の保管期間
輸出書類 輸入書類
輸出帳簿 5年(輸出許可の翌日から):品名、数量、価格、仕出人の氏名(名称)、輸入許可年月日、許可書の番号を記載(必要事項が網羅されている既存帳簿、仕入書(インボイス)等に必要項目を追記したものでも可) 輸入帳簿 7年(輸入許可の翌日から):品名、数量、価格、仕出人の氏名(名称)、輸入許可年月日、許可書の番号を記載(必要事項が網羅されている既存帳簿、仕入書(インボイス)等に必要項目を追記したものでも可)
輸出のインボイス、パッキングリスト、注文書(契約書)、価格表等、電子取引のデータも含む 5年(輸出許可の翌日から) 輸入のインボイス、パッキングリスト、注文書(契約書)、価格表等、電子取引のデータも含む 5年(輸入許可の翌日から)

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