TS16949とISO9001の違い
TS16949は、自動車業界固有の要求事項をまとめたセクター規格といわれるもので、ISO9001を前提にしたものです。つまり、端的にいえば、自動車メーカーが納入業者に守って欲しい事柄をISO9001に足したものがTS16949です。したがって両者は対置関係にあるわけではなく、共存するもので、TS16949はISO9001からの引用が多数あります。
TS16949はISO9001に何を足したものかを実例で見ると以下の通りです。例えば、ISO9001でいう4.1の一般要求事項は次のようにはじまります。
4.品質マネジメントシステム
4.1 一般要求事項
組織は、この規格の要求事項にしたがって、品質マネジメントシステムを確立し、文書化し、実施し、維持しなければならない。また、その品質マネジメントシステムの有効性を継続的に改善しなければならない。
組織は、次の事項を実施しなければならない。
(以下略)
この上記に加え、TS16949では、以下の補足がつけられています。
4.1.1 一般要求事項−補足
アウトソースしたプロセスに対して管理を確実にしても、すべての顧客要求事項への適合に対する組織の責任が免除されてはならない。
要は、部品であれ材料であれ、外注を使う場合は、そのプロセスについても管理責任を負うということになります。自動車は特に安全性の面からも品質が人の命に関わる側面が色濃く、一般のISO9001では要求事項が十分ではなく、どの自動車メーカーも共通して望むあり方、守って欲しい事柄について足されています。
自動車メーカーへ納入する大手部品メーカー、いわゆるTier 1のメーカーで盛んに取得され、国内では多くの自動車部品・材料関連のメーカーが持っている規格でもありますが、ISO9001とは用語の定義が異なる部分もあり、あらためて学ぶ必要があります。
上記は一例ですが、ISO9001の3.用語及び定義の部分についても、TS16949では3.1 自動車業界の用語及び定義という付記があります。このように、TSはISO9001の必要部分に随時付け足された構造をしています。
TS16949でISO9001に足された部分の例
- 0.3 JISQ9004との関係
- 0.5 このTSの到達目標
- 3.1 自動車業界の用語及び定義
- 4.1.1 一般要求事項−補足
- 4.2.3.1 技術仕様書
- 4.2.4.1 記録の保管
- 5.1.1 プロセスの効率
- 5.4.1.1 品質目標−補足
- 5.5.1.1 品質責任
- 5.5.2.1 顧客要求への対応責任者
- 5.6.1.1 品質マネジメントシステムの成果を含む実施状況
- 5.6.2.1 マネジメントレビューへのインプット−補足
- 6.2.2.1 製品設計の技能
- 6.2.2.2 教育・訓練
- 6.2.2.3 業務を通じた教育・訓練(OJT)
- 6.2.2.4 従業員の動機付け及びエンパワーメント
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