スチレン系熱可塑性エラストマー(SBC、TPS)の特徴|比重、耐熱温度、耐薬品性、用途

2013年3月3日更新

スチレン系はTPEとしては最もポピュラーな部類で、熱可塑性エラストマーの中では比較的低コストで、ゴムに近い弾性率を持っています。他のTPEよりもやわらかく、硬度の範囲を大きく変えることができます。やわらかめのグレードが揃っているのもスチレン系TPEの特徴です。また他の樹脂との相性もよく、低温物性に優れるなど、ゴムの代替品としても活躍している材料です。

用途としては、靴底、自動車部品、筆記具のグリップ、スポーツ用品、ラミネート用、アスファルトブレンド用、磁気材料用、電子線架橋用などが知られています。

欠点としては、耐熱性や耐油性、耐摩耗性などの面で劣るため、こうした性能が必要な場合、よくよく検討する必要があります。

スチレン系熱可塑性エラストマーの物性、加工性、ハードセグメント、ソフトセグメント、用途などの情報

TPS(スチレン系熱可塑性エラストマー)の物性
ゴムの種類 ポリスチレン系
記号、略号 TPS(旧記号ではSBC)
生ゴムの性質 比重 0.95から1.10
ムーニー粘度ML1+4(100℃) -
SP値(溶解度パラメータ) 8.1から8.7
加硫ゴムの物理的性質 引張強さ(MPa) 14.7から29.4
伸び(%) 720から1200
硬さ(JIS-A) 45から98
反発弾性(%) 45から65
圧縮永久歪み(%) 30から45
体積固有抵抗(Ω・cm) 1015から1016
耐電圧(kV/mm)
誘電率(Hz)
低温脆化温度(℃) −30から−40℃
連続耐熱使用温度 60から70℃
燃焼性 可燃
耐候性 ×〜○
耐油性 ×
耐熱水性
耐溶剤性
加工性 射出成形 ◎(射出成形温度:160から220℃)
押出成形 △〜○(金型温度:30℃、収縮0.8から1.8%)
主な用途 履物、床材、樹脂改良剤、ゴム、アスファルト
分子構造 ソフトセグメント ポリブタジエン、ポリイソプレン
ハードセグメント ポリスチレン

熱可塑性エラストマー(TPE)の主な種類と材料記号

スポンサーリンク

>このページ「スチレン系熱可塑性エラストマー(SBC、TPS)の特徴|比重、耐熱温度、耐薬品性」の先頭へ

加工材料の性質と特徴(目次)へ戻る

スチレン系熱可塑性エラストマー(SBC、TPS)の特徴|比重、耐熱温度、耐薬品性の関連記事とリンク

熱可塑性エラストマーの新旧の記号、略号の対照表
TPE(熱可塑性エラストマー)の耐熱温度
TPE(熱可塑性エラストマー)の比重

砥石からはじまり、工業技術や工具、材料等の情報を掲載しています。製造、生産技術、設備技術、金型技術、試作、実験、製品開発、設計、環境管理、安全、品質管理、営業、貿易、購買調達、資材、生産管理、物流、経理など製造業に関わりのあるさまざまな仕事や調べものの一助になれば幸いです。

このサイトについて

研削・研磨に関わる情報から、被削材となる鉄鋼やセラミックス、樹脂に至るまで主として製造業における各分野の職種で必要とされる情報を集め、提供しています。「専門的でわかりにくい」といわれる砥石や工業の世界。わかりやすく役に立つ情報掲載を心がけています。砥石選びや研削研磨でお困りのときに役立てていただければ幸いですが、工業系の分野で「こんな情報がほしい」などのリクエストがありましたら検討致しますのでご連絡ください。toishi.info@管理人

ダイヤモンド砥石のリンク集

研磨や研削だけでなく、製造業やものづくりに広く関わりのあるリンクを集めています。工業分野で必要とされる加工技術や材料に関する知識、事業運営に必要な知識には驚くほど共通項があります。研削・切削液、研削盤、砥石メーカー各社のサイトから工業分野や消費財ごとのメーカーをリンクしてまとめています。

研磨、研削、砥石リンク集