ゴムの寿命と劣化原因、防止策|ゴムの有効期限

2020年10月25日更新

ゴムは年数とともに劣化していき、やがては寿命を迎えます。劣化の原因は、年月だけでなく、オゾン、酸素、温度、紫外線といった外部環境によるものとゴムそのものが持つ内部的な要因(ゴムの種類や製法、添加されている配合薬品の種類と量、方法など)があり、いずれについても防止策とまではいきませんが、有効期限や寿命を延ばすための改良が加えられてきています。

ゴムの有効期限や寿命は、どのゴム製品でどのような環境で保管あるいは使用されるかによって千差万別とも言えます。これは使われているゴムの種類が違うことのほか、ゴムが接することになる環境や薬剤などの物質がそれぞれ異なるためです。

メーカー内での品質保持期間

各メーカーは自社内で在庫している製品を製造してから何年以上経過すると廃棄するといった自主的な品質管理基準や、客先となる使用者に納入されてからどれくらいの期間、仕様通りの品質を維持できるかという品質保持期間の二つの側面で期限を設定していることがあります。

衛生用品や医療用品については比較的明確な年月を有効期限として設定しているメーカーがほとんどですが、工業製品の場合、このあたり明確になっていないこともあります。これは以下に述べていくゴムの特性の影響もあります。

また、製品種によっては温度管理ができない倉庫で保管しているものもあり、その場合、四季の温度、湿度の影響をダイレクトに受けます。このため、高温から低温まで一巡する範囲を限界とし、在庫は1年限り、と定めている製品もあります。

ゴムの白い粉は古い製品の証し?

見た目からして老化・劣化しているので使えないという場合は明白ですが、ブルームと呼ばれる白い粉がゴム製品の表面にふいてしまっている状態は、性能上は問題ないこともあり、どう解釈するか難しいところです。

見た目も重視というのであればNGでしょうが、ゴムは中に練りこんだ配合薬品のなかに老化防止剤があり、これらはゴムの表面から汗をかくように少しずつふいてくることで、ゴムの劣化や老化を遅らせる機能を持ちます。

たいていのゴム製品のメーカーは客先納入時にはこのブルームと呼ばれる白い粉が出る前に完了させるよう設計上もなっていますが、温度要因や納入前に時間がかかってしまうと意図せずに出てしまっていることがあります。こうした老化防止剤を使って劣化の時期を遅らせたり、特定の物質に対しての劣化の程度を抑えるといった対策はゴム製品には欠かせない技術の一つと言えます。

製造工程上でも有効期限がある

完成品にまで仕上げた場合、そのゴム製品をいつまで品質劣化せずに使うことができるかという視点のほか、ゴム製品をつくるために仕入れた天然ゴムや合成ゴムを、加硫前の配合ゴムの状態にしておいた場合いつまでもつのかという視点で有効期限を見ることもできます。

加硫前のゴムの有効期限は季節によって異なる

原料ゴムというのは最終的に加硫してしまうとそれはすなわち完成品になる、ということになりますが、各種配合薬品、加硫促進剤などその一歩手前の状態にまでもっていくと、夏場はそこから2週間程度で加硫が進んでしまうといわれています。

温度の低い冬場はこれが1か月ちょっとに延びますが、いずれにせよ、あとは加硫してゴム製品にする、という状態の配合ゴムにまで仕上げると、このように2週間〜1か月という短い期間の間に製品にしてしまう必要があります。

天然ゴムやラテックスの場合、加硫前までの工程で見ると、素練り→ゴムや配合剤各種を秤量→これらを混ぜ合わせるための混練り→加硫促進剤や硫黄を添加するS混→分出し(マーキング)→冷却という流れになっており、この工程を経たものであれば、上記の夏場は2週間前後、冬場は1か月前後が品質保持の期間ということになります。もっとも、低温倉庫で一定の温度を保てるのであれば、この期間はさらに延ばすことはできますが、基本、ゴム練りは完成品の生産計画に紐づいて生産されることがほとんどです。意図的に在庫するということは稀ともいえます。

ゴム製品の寿命にかかわる要素

一方、ゴム製品となった状態からの有効期限や品質保持期限というのは何によって影響を受けるのでしょうか。以下に見ていきます。

老化はゴムの宿命

他の材料に比べゴムの耐用年数というのは長いほうではなく、金属のように錆がないかわりに、ゴムは劣化、老化と温度により性能が変わってしまうというデメリットがあります。これはいわばゴムの宿命ともいえる性質で、老化しないゴムというのはほぼありません。

劣化や老化を引き起こす大きな因子となっているのは、酸素、オゾンや温度、ガス、各種薬剤、機械的疲労、光、紫外線、放射線といった外部的な因子と、ゴムの種類や配合薬品の種類、加硫をはじめとする加工工程中などの内部的な因子があります。

寿命に影響する内部因子と外部因子

ゴムには天然ゴム、合成ゴムの別のほか、合成ゴムの中にもいくつか種類があります。ゴム製品は単一の原料ゴムから作られているものもありますが、複数の種類のゴムを混合して求める特性を出している製品もあります。ゴムが何に対して強いのか、弱いのかといった視点で見た場合、この種類の影響が大きいといえます。

また、耐オゾン性、耐熱性、耐寒性、、耐摩耗性、耐熱老化性、耐ガス透過性、耐油性、耐薬品性、耐溶剤性、耐候性、電気絶縁性、といった性能アップのために、ゴムはその製造過程で配合薬品が添加されています。

これは大きく分けると、有機薬品と無機薬品になります。有機薬品としては、酸化防止剤、熱老化防止剤、亀裂防止剤、オゾン劣化防止剤、銅害防止剤、二次老化防止剤といったものがあります。また耐油性や耐薬品性、耐熱性、強度アップといった部分は、充填剤によって調整されます。これには炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸、クレー、カーボンブラックといったものがあります。

老化や劣化を促進させる要素

オゾン

ゴム製品は、オゾンに弱く、一定のオゾン濃度のもとで老化・劣化していきます。天然ゴム、ラテックスなどはその典型で、EPDMなどの耐オゾン性に優れるゴム以外は外気で使用されるものについてオゾン老化防止剤を添加しますが、それはこれが理由です。

油や溶剤、ガソリン

油や溶剤に長期間触れても膨潤する性質があります。ガソリンなどの燃料や溶剤を流すために使うホースにはそれら目的に合致した耐油性、耐薬品性、耐溶剤性が求められますが、特にゴムの種類や添加材に頓着しないのであれば、ゴムはこれらの影響で製品の性能を発揮できなくなってしまいます。ある種のガスについても同様で、ゴム製品が膨潤し寸法や特性が変わってしまいます。

温度|高温と低温

ゴムは金属やセラミックスに比べると比較的日常の範囲での温度の影響をかなり受ける材料の一つです。

温度は高温になると物性が低下、硬化や軟化、亀裂発生、粘着発生を引き起こします。一方、低温すぎても、次第に硬くなって最後には固化し弾性がなくなってしまいます。

一般に、ゴム製品が振動吸収や減衰、軽減させるために使われる場合、コントロールされるパラメータというのは硬度やばね特性となります。温度が高いほどに、より短期間で硬度がアップし、ばね特性もアップしていきます。こうなると、その製品で狙っていた特性を満たすことができなくなってしまいます。

温度とばね特性、硬度の関係についてはゴムの種類にもよりますが、硬度3Hsアップ(ばね特性15%アップ)までにかかる時間で見た場合、10℃に保っていれば17年、15℃で9年、23℃で3.6年、30℃で1.6年、40℃で5.5か月程度と言われます。つまり、この種の製品であれば、15℃に保つ低温倉庫での保管であれば品質を保持できる9年が有効期限ということになります。温度管理設備のない倉庫での保管であれば、夏場はゆうに30℃は超え、40℃近くになりますので、設計通りの品質を満たせるのはせいぜい1年程度というところでしょうか。

ゴムは金属と違い錆や腐食がなく水には強い材質なのですが、一部のゴムは水に弱い性質もあります。水に弱いとは、具体的には水分を吸って膨潤を起こすことで製品としての品質を満たさなくなる状態で、耐水性の弱いゴムで起こります。

ゴムがなぜ吸水するかについては、諸説ありますが、ゴムの中に含まれている親水性の樹脂やたんぱく質、ラテックス凝固の際にゴムの中に封入されてしまう水溶性の糖、無機塩類によってゴムが吸水するとの説があります。

また、耐水性とは少し違いますが、加水分解についてもウレタンゴムをはじめとする一部のゴムでは老化・劣化を加速させる因子となります。

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