クリーンルームのクラスの基準と規格

2012年5月2日更新

半導体をはじめとする産業分野では、塵や埃、わずかなパーティクルが製品の品質に影響するため、これらが極力混入する可能性の少ない環境での製造が求められます。成膜も同様で、こうした微細なパーティクルが薄膜をつける対象となる基板へ付着すると、ブツやボツといった膜欠陥を引き起こします。また高真空が要求される装置を、こうした微粒子が多く存在する環境で使うのは望ましくありません。したがって、成膜装置が設置されている場所はほとんどがクリーンルームとなっています。

このクリーンルームには一定空間の中にどれくらいの微粒子が浮遊しているかを示す「グレード」があり、それがクリーンルームのクラスとして表示されています。空気の清浄度レベルを表すものでもあります。

このクラスを表す規格は、1992年に改訂された米国のFed.Std209E (Federal Standard 209E)がよく使われます。この規格の正式名称は「AIRBORNE PARTICULATE CLEANLINESS CLASSES IN CLEANROOMS AND CLEAN ZONES」で、これに相当する国内規格としては、国内のJIS規格であるJIS B 9920(クリーンルームの空気清浄度の評価方法)、ISO規格のISO 14644-1があります。

クリーンルームのクラス100やクラス1000といわれる基準は、上記のうち、米国のFed-std209Eから来ている基準です。下表がそのクラスの基準値となります。クラスの後についている100や1といった数字は、1ft3中に、0.5μmの微粒子が入っている個数となります。たとえばクラス1ならば、0.5μmの微粒子が1ft3中に1個という基準となります。

【単位換算参考】1 m3 = 35.31 ft3

クリーンルームのクラス基準(米国連邦規格FED.STD209E)
クラス名称 各クラスの微粒子の存在許容限界
0.1μm 0.2μm 0.3μm 0.5μm 5μm
体積単位 体積単位 体積単位 体積単位 体積単位
SI単位 クラス名称 (m3 (ft3 (m3 (ft3 (m3 (ft3 (m3 (ft3 (m3 (ft3
M1 - 350 9.91 75.7 2.14 30.9 0.875 10.0 0.283 - -
M1.5 クラス1 1240 35.0 265 7.50 106 3.00 35.3 1.00 - -
M2 - 3500 99.1 757 21.4 309 8.75 100 2.83 - -
M2.5 クラス10 12400 350 2650 75.0 1060 30.0 353 10.0 - -
M3 - 35000 991 7570 214 3090 87.5 1000 28.3 - -
M3.5 クラス100 - - 26500 750 10600 300 3530 100 - -
M4 - - - 75700 2140 30900 875 10000 283 - -
M4.5 クラス1000 - - - - - - 35300 1000 247 7.00
M5 - - - - - - - 10万 2830 618 17.5
M5.5 クラス10000 - - - - - - 35.3万 10000 2470 70.0
M6 - - - - - - - 100万 28300 6180 175
M6.5 クラス100000 - - - - - - 353万 10万 24700 700
M7 - - - - - - - 1000万 28.3万 61800 1750

JIS規格によるクリーンルームのクラスの基準は下表の通り規定されています。上記の米国連邦規格であるFED.STD209Eとは異なり、粒子径1μmの項目があります。また、清浄度はクラス1からクラス9まであり、数字は小さいほど、より清浄度が高いことを示します。

クリーンルームのクラス基準(JIS B 9920規定の清浄度クラス)
清浄度クラス 微粒子の上限濃度(個/m3
測定粒子径
0.1μm 0.2μm 0.3μm 0.5μm 1μm 5μm
クラス1 10 2 - - - -
クラス2 100 24 10 4 - -
クラス3 1000 237 102 35 8 -
クラス4 10000 2370 1020 352 83 -
クラス5 100000 23700 10200 3520 832 29
クラス6 1000000 237000 102000 35200 8320 293
クラス7 - - - 352000 83200 2930
クラス8 - - - 3250000 832000 29300
クラス9 - - - 35200000 8320000 293000

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