ミルシート(MILL SHEET)とは

2013年7月7日更新

ミルシートは、鋼材などを購入した際に製造元から供給される成分表、仕様書のようなものです。正式には、鋼材検査証明書、材料証明書ともいいます。

鋼材は、成分とその後の熱処理の二つによってその性質、例えば引張強度や伸び、耐力、硬度、衝撃値など破壊強度に影響するパラメータが大きく変わります。中でも、鋼材の生まれであることを示す成分は、その鋼材の基本的な性質を決定付ける部分となるため、使用前には必ず確認しておくべき部分です。JIS規格に基づいた鋼材であっても、規格内で成分のばらつきがあるため、用途によっては実績値(実測値)が事前に必要となります。

熱処理でかなり性質を変える部分もあり、窒化や浸炭などで表層のNやCといった量を増量させることはできても、もって生まれた成分については変えることができません。

ミルシートに記載される項目としては以下のようなものがあります。

  • 成分(鋼の5元素といわれるC、Si、Mn、P、Sのほか添加されている元素の情報)
  • 引張強さ、耐力(もしくは降伏点)、伸び、硬度などの機械的性質
  • 寸法、サイズ
  • 質量
  • 証明書の発行主体(メーカー名、製作所名)
  • 製造番号や証明書番号など管理番号

成分や引張強さなどの機械的性質については、その値が規格値なのか、実測値なのか、保証値なのかに留意すべきです。

なお、ミルシートは主に日本で使われる用語であり、対象となるのが日本の鋼材ではない場合、外国の取引先相手にMILL SHEETといっても通じないことがあるので注意が必要です。この場合、MILL CERTIFICATEやSPECIFICATION SHEET、INSPECTION CERTIFICATEといった表現で補うとよいかと思います。

EUなど環境規制の厳しい諸国への輸出に際しては、鋼材の含有成分も問題となることがあります。こうした規制をクリアするための手続きや、環境物質管理の際には、鋼材の成分が必要となる場合もありますので、ミルシートをあらかじめ入手しておく必要があるケースも出てきます。

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