仕上げにラップ研磨が使われるのはなぜか

2011年10月13日更新

鏡面仕上げと呼ばれる研磨の最終工程の多くではラップ研磨が良く使われたり、最終工程でなくとも、高精度の平面や平坦な面が必要な場合は定番となっている加工手法です。

ラップ研磨は、遊離砥粒と呼ばれる液体状になっている研磨材と、加工対象であるワークを挟み込むようにして平面を出していく研磨手法です。

ワークはキャリアと呼ばれるジグで定盤の上に固定し、上下もしくは上から定盤を下げ、それらで圧力をかけながらワークを磨いていきます。

片面ラップ盤と両面ラップ盤の別があり、前者はワークを片面だけ研磨する研磨機で、後者は両面を同時に磨くための研磨機です。シリコンウエハーや一部のガラス、光学部品などの研磨では、研磨と言えばこのラップ研磨を意味しています。

ラップ研磨が一般の砥石による加工に比べて精度が出しやすいのは、まず砥粒による切り込みの深さが調整しやすい点があげられます。固形となっている砥石の場合、砥粒が表面から突き出す高さや砥粒が加工対象に突き刺さる深さをコントロールするのは難しくなります。というのも、ボンドの結合度も砥石の全面でまったく同じということはなく、圧力を同じにしても、すべての砥粒が同じ深さに切り込んでくれるとは限らないからです。また、加工中に砥粒は破砕して切れ味を維持し、砥粒を支えるボンドも削れていくことで研磨が実現しますが、この程度もコントロールするのは困難です。この点、遊離砥粒は液体のなかに一定範囲のサイズの砥粒がまぜてあるため、砥粒が切り込む深さの予測が立てやすくなります。

また遊離砥粒の場合、切り込む深さを極小にすることも可能です。砥石の場合は、切り込みが足りないと砥石の表面が滑り、焼けてしまったり、そもそも研磨ができないこともあります。ラップ研磨は、ラップ液の中で研磨するため、焼けの心配がないというのも精度面ではメリットがあります。

ラップ研磨が仕上げで使われるのは、研磨時の圧力を調整することで砥粒の切り込みを極小にできるからという理由の他、下記の事由もあります。

砥粒があまり小さくなる、つまり粒度が#10000や10万などになってくると、砥石として成形することがもはやできなくなってきます。形は砥石となっていても、砥粒自体が小さすぎるため、ボンドが削られず、表面から切れ刃として突き出してこないという現象が起きます。このため、刃となる砥粒をそのまま使えるラップ研磨は高精度の加工では有利になります。

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