レンズ研磨に使われる砥石について

2010年10月2日更新

レンズの精度は用途によりけり

レンズや光学部品は、目的とする波長の光を透過させたり、反射させたり、場合によっては吸収させることで光をコントロールすることができます。そのため、面精度や寸法公差にどの程度の精度が必要かどうかは、目的によっても異なります。例えば、一眼レフに使われるレンズの精度は、眼鏡レンズとは比較にならないほど厳しいものです。また、レンズといってもその種類は千差万別。球面レンズ、非球面レンズの違いがあり、眼鏡レンズのように縦方向と横方向の曲率(R)が異なる、いわゆるベースとクロスが違うタイプのレンズのほか、どの方向からも同じように凹凸ができているカメラレンズのようなタイプがあります。

製造工程に研磨のあるレンズは、ガラスレンズに限られますが、研磨の方法・加工様式としては概ね下記の通りです。

レンズの中心を出すために外周を削る「芯だし」

メタルや電着ボンドを用いたダイヤモンドホイールが使われます。レンズは光を通すためのもので、芯を出さないと光の通り道が狂ってしまいます。専用の機械でレンズの縁部分だけを削っていきます。

レンズの凹凸面をざっくりと削っていく「カーブジェネレータ(CGもしくは単にジェネレータ)」

ほとんどの場合、電着砥石が使われます。プレーンカップ型をしたホイールを使い、砥石がレンズにあたる角度を変えることで、アール面を自在に加工することができます。

研磨皿に曲率の付いたペレットを貼り付けてレンズ凹凸表面をより滑らかに研磨

ペレットはメタルボンドかレジンボンドが多く、砥粒はほぼダイヤモンドが使われます。研磨皿につけられたペレットは、一つの研磨皿で一つのレンズをすっぽりと覆ってしまうため、それぞれの位置によってペレットの凹凸の曲率が違います。国内でもこうしたものを精度よく製造できるメーカーは限られています。

酸化セリウムのような遊離砥粒(液体研磨剤)を使ってウレタンなどの研磨パッド(研磨剤自体は入っていないもので、ポリッシングパッドとも言います)で行う最終仕上げ研磨

液状にといてある研磨剤を使って磨きこみます。液体研磨剤だからといって、砥石の損耗が無いわけではなく、液の中の砥粒は使い込むうちに破砕し、形状を変えていきますので、時期がきたら交換します。一般にはポリッシングパッドを見れば研磨剤の交換時期がわかるとされます。

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