トヨタの「受入」とは何か

2017年4月1日更新

トヨタと直取引している会社や同社の工場への納品経験がある会社にとっては自明のことではありますが、トヨタは納入部品を工場のどこへ納入すべきかを、「受入」という番号を使って明示します。これはレーンとも呼ばれる、トラックから荷受する最初の入り口の部分にプールのごとく複数のレーンが設けられており、どこへ部品を下ろし、空箱を回収して帰るかという一連のプロセスが明確に定められています。

トヨタ生産方式を支えるためには、必要な部品を必要なときに必要な数だけ的確に納入されていくことが大前提としてありますが、膨大な部品を使う自動車の製造において、各部品メーカーが好きに部品を持っていけば、トヨタの部品の受入場所がパンクしてしまいます。ましてや、分単位でスケジュールが決められる部品供給の世界では、設備の停止などによっても、トラックからつみ降ろせるスペースも限られており、生産が滞ればたちどころに影響が出てしまいます。

そこでトヨタの工場では、1日を複数のレーン、たとえば、48のレーンにわけ、1つのオーダーは必ず1つのレーン(受入)に納入するという方法で、各レーンの荷物の負荷をうまく分散しています。生産ラインへの部品供給というのはこのレーン番号にしたがって進んでいきます。

生産ラインと受入のレーンは連動しており、1台車両を生産するごとに、受入レーンにある電光掲示板の表示でカウントダウンが進んでいきます。これによって生産ラインに供給される部品が一定に保たれます。一方、レーン自体もトラックからの積卸(入り)と、トラックへの空箱の積み込み(出)を同じレーンで作業しないようにし、積みつけも隣り合うレーンでは行わないようになっています。

大きな設備停止がない限り、この受入を行うレーン(進度吸収レーン)で遅延によって増えた部品を吸収するようになっています(生産ラインが部品であふれかえることがないようにしています)。 大掛かりな設備停止やトラブルの場合、スライド納入といって、納入時間をずらすことが行われますが、生産ラインの状況にあわせた供給の調整はこうした体制で日々細かく行われています。

トヨタから発注が出される時点では、どのレーンに納入すべきかすでに決まっており、これが受入の番号として表示されています。発注内容としては、工場名、品番(10桁からなります)、背番号、受入が分かれば事足りるという仕組みにはなっています。

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