自動車業界での市場対応の意味とは

2021年12月10日更新

自動車の分野で市場対応といった場合、多くはリコールそのものやその一歩手前、あるいは自動車メーカーが何らかの問題に対処するために行うフィールドフィックスの為の部品交換対応を意味している場合があります。

本来は市場対応というのはニーズをくみ取ってレベルアップのために行うもので、品質や機能向上のためのものですが、ここでは何か不具合やトラブルが起きて部品を交換する必要がある、という場合に使われる表現となります。公にはリコールとされていても、サプライヤーには市場対応という言葉が使われることがあります。

市場不具合やクレーム、修理、リコール回収などというとイメージが悪く、あらぬ形で噂が広まったりしてしまうリスクもあることから、自動車メーカーはサプライヤーに対してはこうした婉曲にふんわりとした表現を使う傾向があります。話を受けた営業担当も情報の伝播を警戒して自社内でもあまり詳しくは語りませんので、一体何なのか製造側ではわかりにくい用語です。

月に数個から数十個といったレベルしか売れてなかった補給品・補用品といった補修用の部品が、あるときから期間限定で量産並みに売れることがあります。この前触れとして市場対応用として供給してほしいという打診が自動車メーカーから部品メーカーへは入ってきます。いわゆる特需ということになりますが、いったん量産が終わり生産能力が落ちていたり、材料がすぐには揃わない場合も多々あり、部品メーカーが対応に苦慮するパターンの一つです。こうした依頼はいつからやってほしいと決まっている場合が多いですが、往々にして材料の調達リードタイムまで見ると足りないことが多いといえます。

自社部品そのものが何らかの不具合を誘発しているという場合でも、図面で取り交わした規格や仕様を満たしている場合、部品メーカー側には落ち度がないため、こうした場合の費用は自動車メーカーが負担することになります。

市場対応のための補給品特需は、自社の自動車部品だけでなく、自社品と一緒に組み付けられる相方やモジュールのような大きな単位で発生した場合にも起きることがあります。この場合は、セットになっている他の部品に不具合があるのでそちらを交換すると自社品も必要となるというパターンです。この場合、関係するすべてのサプライヤーの供給足並みが揃わないと交換ができないため、当初の供給依頼内容が変わってしまうこともあります。

自動車部品メーカー側からは顧客であるカーメーカーでの市場対応がいつ始まりいつ終わるかをきちんと情報収集しておかないと、普段と販売数量の落差が大きいものほど、開始時期・終了時期のずれが大きな損失につながることになります。

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