トヨタのロングパストレーラーとは何か

2023年8月20日更新

ロングパスはトヨタの用語では、トヨタ輸送が手掛ける部品の長距離輸送システムのことで、同社がこの用途で使用する一軸長距離トラックを特にロングパストレーラーと呼びます。このトラックは車体に「LONG PASS」のロゴがついているのでエリアによっては走っている姿を見かけることがあるかもしれません。

なお、Logistics Of New Generation Parts Active Service Systemの頭文字をとった略称がLONG PASS(ロングパス)となります。奇しくもサッカーのロングパスにかけても意味が通ります。

トヨタのロングパストレーラーとは何か|目次
  1. なぜロングパスか
  2. 門前倉庫との契約がなくともトヨタと取引できる

なぜロングパスか

いったいなぜこのような長距離輸送のシステムを構築する必要があるのかといえば、トヨタの完成車を作る車両工場がお膝元とも言える愛知のほか、九州地区や東北地区、車両工場以外も含めれば北海道から九州までという日本列島の南北に広がっているため、部品によっては各地から長距離輸送を行う必要があるためです。

輸送として多いのは、自動車部品の工場が日本で最も集積しているエリアである愛知県から、東北や九州等のトヨタ工場やその支給先のある遠隔地への部品輸送となります。

ロングパストレーラーですべて陸送する場合もあれば、トヨタ九州の宮田向けなら名古屋港から門司港へトラックごとフェリーにのせて運び、門司港からは陸送で工場へ配送という具合に、陸海の複合輸送となる場合もあります。

東北エリアであれば、トヨタロングパスエクスプレスという専用の鉄道を使用した輸送や、陸送・海上輸送とのさらなる複合輸送もあります。

門前倉庫との契約がなくともトヨタと取引できる

自動車部品メーカーでもトヨタとの取引金額・取引量の大きいところは、たいてい納入先となるトヨタ工場の近くに、部品工場も作り、タイムリーな多回納入をかんばんを使ってできるようにしていますが、規模の大小や会社の方針にもよりますので、すべての部品メーカーが同様の対応というわけではありません。

工場がなくとも、門前デポを構えたり、納入を行う社外のデポと契約したりする等でトヨタの工場への即納体制を作るところもありますが、それらもできない場合は、トヨタ輸送によるロングパスが選択肢の一つとなります。

部品メーカーが使用する場合、このロングパスはミルクランの一部とはならず、個別にトヨタ輸送と契約して料金も支払う形になります。仮にTMK、TMEJの双方に納入する愛知県の部品メーカーがあるとした場合、その会社は九州地区に工場か倉庫、東北地区に工場か倉庫のいずれも備えないと納入が困難となりますが、ロングパスを頼めば、愛知の倉庫に在庫しておくだけで、九州や東北の車両工場に納入することができるようになります。

東北や九州に倉庫を持っているというメーカーの場合、自前で路線便をたてて輸送するコストと、ロングパスを使用した場合のコストを比較してどちらがメリットがあるか検討を行うことになります。

なお、トヨタ輸送はトヨタのグループ会社になります。このため、単に区間を長距離輸送するだけという他の輸送会社とは異なり、かんばん情報との連携についても長けており、厳密には法人が別ですが、トヨタが運んでいると考えればわかりやすいかもしれません。

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