200%検査とは何か

2019年12月25日更新

200%検査、あるいは状況によっては300%検査、400%検査といったものもあり得ますが、これらはいったい何を意味しているのでしょうか。

多分に現場用語に近い使われ方をするのと、同じ品質保証(QA)や品質管理(QC)の世界でも使う業界・会社とそうではないところがある用語です。

通常、工場で製造した製品の最終的な検査は品質保証部門や品質管理部門で実施されますが、不良率がきわめて高い、あるいは検査をしているのに納入先で不良が見つかる等の場合に、200%検査を実施することがあります。これは異なる二つの場所での検査を意味し、例えば通常は工場で生産ラインから出され、検査場へ運ばれ、そこで検査員による検品が行われますが、検査後、さらに別の検査場所で別の人間による検査を再度行うことを200%検査と呼ぶことがあります。

2回検査が終わり、もしさらにもう一箇所別の場所でも検査を実施する場合は300%検査となります。この場合、都合3回の検査をそれぞれ別の場所で実施していることになります。場所ではなく検査員を変えて、通しで2回検査を行うことを200%検査と呼称する場合もあります。

いずれにせよ、繰り返し検査を行うというのは、尋常な方法ではなく、コスト高や検査の負荷も高くなります。不良を絶対に流出させることができないが、発生源を抑えられない場合にはこの方法で一時しのぎをするということが行われます。200%検査、300%検査をしているという話を聞いた場合、はっきり言えるのは異常事態、非常事態である、ということです。

こうした手法は、あくまで不良品の流出を抑える為の緊急時の対症療法に過ぎません。発生源を抑えなければ、いくら流出源に力を投入しても、根本解決にはならない為、単なる時間稼ぎとも言えます。何度でも再発し、またコストについても永久にかかり続ける為(往々にして流出を抑える費用のほうが高くつきます)、流出対策としても継続前提では現場が立ち行かなくなります。

例えば製造業の雄ともいえるトヨタでは、良いものだけを生産し、検査に頼らないものづくりをするという思想が根底にあり、豊田英二氏からは「検査の理念は検査しないことにあり」という方針も打ち出されています。

自工程でしっかり作りこみ、よいものだけを後工程へ流すことができれば、土台、最終的な検査は要らないということになります。実際、最終検査を行ったとしても、NG発生時には各工程のどこを見ればよいか確認すべき点も見えやすくなっています。

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