顔料と染料の違い

2022年6月19日更新

顔料や染料には様々な種類があり、顔料はプラスチックや塗料の着色に使う色素で、染料は繊維や紙の染色に使用される色素というのが一般的な違いの説明として用いられますが、これを少し詳細に見ていくと、着色する対象に限定されているわけではないことが分かります。例えば、繊維の着色に顔料を使うこともあり、用途だけの分類では説明がつかなくなってきます。

まず辞書的な意味としては、下表の通りとなります。

辞書的な定義の違い
用語 英語 意味
染料 dye, dye compound 繊維や皮革・紙などを染める有色物質。天然染料と合成染料とがある。
顔料 pigment 一定の色に着色する物質。混合する物質と作用せず、水・アルコールなどに溶けず、所定の色を呈する不透明物質で、金属塩などの無機顔料と、染料のレーキなどの有機顔料がある。塗料・印刷インク・化粧品の原料とし、プラスチック・ゴムなどの着色に用いる。

色素の中の位置付け

色素を表で分類・分解していくと下表のようになり、この中で顔料は有機顔料と無機顔料に分かれるものの、染料は有機化合物(有機色素)のみという分類になります。

顔料と染料の種類と分類
色素 天然色素 鉱物性 天然無機顔料
動物性(有機色素) 動物性染料
植物性(有機色素) 植物性染料
合成色素 有機色素 染料
有機顔料 染付けレーキ顔料
アゾ系顔料 溶性アゾ(アゾレーキ)
不溶性アゾ顔料
縮合アゾ顔料
フタロシアニン系顔料
縮合多環系顔料
その他
無機色素 無機顔料 炭素
金属粉
酸化物
複合金属酸化物
水酸化物
その他

これらの化学構造式で顔料と染料の違いがあるならば、同じ有機化合物に該当する有機顔料と有機染料との違いを見ていけばその違いがはっきりします。アゾ系顔料とアゾ系染料の違いを比較してみます。

まずアゾ系で見ると、顔料と染料はほぼ同じ化学構造式ですが、顔料が水に溶解しにくいのに対し、染料のほうは水に溶解しやすいという違いがあります。これらは微妙な化学構造式の違いに由来します。

染付けレーキ顔料のように、体質顔料に染料をレーキ化(水に不溶性にすること)して固着させて不溶性にしたものもあります。

溶けるか溶けないかで着色方法が変わる

この水や溶剤に溶ける、溶けないを基準に顔料と染料を区別した場合、着色方法・プロセスにも違いがあることが分かります。

染料は水や溶剤に溶かしたあとに、繊維や紙に対して化学結合によって染色されます。色の「粒」ではなく、溶解させて分子状態で染める対象と結合していきます。一旦結合すると水で洗っても落ちなくなります(一部色落ちする物もありますが)。

反対に顔料は、色素の「粒」を溶かすのではなく、着色対象に分散させます。ビヒクルと呼ばれる水や有機溶媒、油脂などに分散させて固着させます。プラスチックを例にすれば、着色用のペレットやパウダーを成形機に投入して、色の粒子を均等に分散させて着色させます。このとき、目に見えない小さな色の粒は溶けておらず、分散・拡散しているだけです。

このように目に見えないほどの細かい小さな色の粒が均等に対象にまぶされ、着色に使われるのが顔料ということになります。

顔料と染料の違いをまとめると下表の通りとなります。

顔料と染料の違い
顔料 水や溶剤に溶解させず、分散して着色に用いる色素
染料 水や溶剤に溶解させて、化学結合で染色に用いる色素
   

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