鋼の成分分析の方法|レードル分析値、溶鋼分析値

2013年1月2日更新

JIS規格で鉄鋼材料ごとに、成分の規定がなされていますが、これらは実際に完成した鋼を計測した成分値ではありません。ここに規定されている成分は溶けた状態の鋼である溶鋼(ようこう)の成分を計測したレードル分析値です。これは別名「とりべ分析値」あるいは「溶鋼分析値」とも言います。反対に実測したものはチェック分析値や、計測分析値と言います。

実際に流通している規格鋼材を分析しても、規定されている値と寸分たがわずに一致することは珍しく、たいていは規格値とずれています。溶けた鋼と実際の鋼は、たとえ出発原料が同じであったとしても成分が微妙に変わってしまうのです。

この成分の変動にも許容される範囲が規定されており、こうした事情から、この範囲内のずれについてはあらかじめ想定しておく必要があります。鋼の種類と、成分によってもずれる範囲が違ってきますが、例えば、炭素鋼であれば以下のような値が目安となります。

変動の範囲は微量ではありますが、含有する成分が多いほど、変動値も大きくなる傾向にあります。

炭素鋼の炭素含有量(%) 炭素(C)の変動幅
下限変動値 上限変動値
0.15未満 0.02 0.03
0.15から0.40 0.03 0.04
0.40から0.80 0.03 0.05
0.80を超える 0.03 0.06

一般的に鋼材の成分が表示されている規格やカタログなどは特に注釈がない場合、このレードル分析値のことを示しています。

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