ステンレス研磨で傷が付く場合の対処方法

2012年8月25日更新

ものを磨くというのは、表面の凹凸を滑らかにすることですが、この研磨とは、「物体の表面に傷をつけること」でもあります。どのような研磨工具や研磨剤にも、物体の表面を削る「砥粒」と呼ばれるものが入っており、これで表面を少しずつ削って、凹凸の飛び出た部分を削り落としていく工程が研磨と呼ばれるものです。

傷をつける工程なのになぜ表面が鏡面のようになるかといえば、凹凸をより小さくする、つまり、表面の傷をより小さくすることで、鏡のような面を作り出すことができます。どんなに輝いて見える表面でも、拡大すれば凹凸はあります。要はその「程度」の問題で、滑らであるか、鏡面であるかが決まります。

通常、ステンレス研磨でより高精度の表面粗さを得ようという場合は、粗い番手(粒度)、つまり削る作用を持つ砥粒の「つぶ」が若干大きいもので研磨した後、少しずつその大きさを小さいものに変えていきます。つまり、研磨に複数の工程があります。

研磨工程のうち、どの段階で発生した傷か見極める

研磨加工というのは、前工程での深く傷をつけすぎたり、十分に全面が研磨できていなかったりという問題が、次の工程以降になってはじめて目に見えてくるという加工です。

特に、ステンレス研磨の場合は、最終仕上げやそれに相当するバフ研磨を終えたあとにはじめて傷が浮き上がって見えてくるという問題があります。傷の深さを見れば、明らかに仕上げ工程で発生したのではないものもあります。この傷をとるには、この傷が発生した工程にまで戻る必要があります。

研磨工程をみなおす

ある特定の粒度で傷が発生しているようならば、粒度と粒度のつなぎがうまくいっていない可能性があります。対処方法としては、深い傷がついてしまう工程の粒度を細かくするか、その工程から次の粒度へうつる間に、もう1工程、中間の粒度のものを挟むという方法もあります。

各作業工程ごとに使う粒度(番手)を少しずつ変えてみる

そもそも各工程で最適な粒度というのは、明解な答えがあるわけではなく、試行錯誤を通じて経験的に導き出されるため、環境やステンレスのグレード、研磨作業者が変わるだけでも違いは出てきます。傷の発生状況に応じて、粒度を細かい方向へずらしていく、という対処方法もあります。

砥粒を変える

砥粒は種類(物質)そのものを変えてしまうやり方と、同じ種類のうちグレードだけを変えるというやり方があります。

スポンサーリンク

>「ステンレス研磨で傷が付く場合の対処方法」についての先頭へ

砥石Q&A一覧へ戻る

「ステンレス研磨で傷が付く場合の対処方法」についての関連記事とリンク

ステンレス研磨用砥石(鏡面研磨仕上げ)
ステンレス鋼(SUS)の種類にJIS規格はありますか?
ステンレス鋼(SUS)の表面処理、表面仕上げの種類について:JIS規格、ANSI
ステンレス板材の厚みによって仕上げ面粗さは変わりますか。
バフ研磨とは何ですか
ステンレスの酸化皮膜、不動態皮膜とは何ですか?
ステンレスの研磨方法にはどのようなものがありますか。
ステンレスの研磨に向いた砥石、研磨材、工具についておしえてください。
ステンレス鋼材(SUS)の種類、成分、特性など(外部サイト)

このサイトについて

当サイトの記事はすべて工業製品のメーカーの実務経験者が執筆しています。

砥石メーカーの製品や技術を紹介するサイトとしてはじまりましたが、加工技術・工具・研削・研磨に関わる情報から派生し、ユーザーの問い合わせに応じて鉄鋼、非鉄、貴金属、セラミックス、プラスチック、ゴム、繊維、木材、石材等製造に使用する材料・ワークの基礎知識についても掲載するようになりました。その後、技術情報に限らず、製造業で各分野の職種・仕事を進めるうえで役立つノウハウも提供しています。

製造、生産技術、設備技術、金型技術、試作、実験、製品開発、設計、環境管理、安全、品質管理、営業、貿易、経理、購買調達、資材、生産管理、在庫管理、物流など製造業に関わりのあるさまざまな仕事や調べものの一助になれば幸いです。

工業情報リンク集

工業分野のメーカーや商社を中心に、技術、規格、ものづくりに広く関わりのあるリンクを集めています。工業製品の生産に必要とされる加工技術や材料に関する知識、マーケティングから製品企画、開発、販売戦略、輸出入、物流、コスト低減、原価管理等、事業運営に必要な知識には共通項があります。

研磨、研削、砥石リンク集