ハイス鋼(SKH材)に適合する砥石はどのようなものですか。

2011年4月17日更新

ハイスは正式には高速度工具鋼といい、その名称が示すとおり、高速回転を前提とした工具によく使われる材料です。加工しやすく、価格も経済的で、じん性に富んだ欠けにくい素材で、工具以外の用途にも使われます。

ハイス鋼は特にタングステンを多く含有する鉄鋼材料ですが、このほかにもモリブデン系のものがあり、添加元素としてはクロムやバナジウムを入れることでさらに耐摩耗性、耐熱性を強化した材料です。

ハイス鋼を研削する場合は、ダイヤモンドホイールでも加工できないことはないですが、損耗が著しく、超砥粒を用いるならやはりCBN砥石がベストです。また同じハイスでも、タングステン系とモリブデン系のハイスでは成分とともに物性にも違いが出てくるため、まったく同じ条件で加工しても同じ面精度にならないこともあります。これは鉄鋼材料全般に言えることですが、材料の硬さや性質はもともとの成分と熱処理の二面から決まり、いわば「生まれ」と「育ち」によって最終的な性質が決まると言えます。成分はどのような元素が加えられているかで性質が相当変わることがあるため、加工しようとしているハイス鋼がどのようなスペックのものなのかはよく調べる必要があります。

研削砥石で加工する場合は、WA砥石を用いるのが一般的です。ハイス鋼は焼入れするとHRC63〜64近くになり、またさらに硬度を上げることも可能で、鉄鋼材料の中でも硬い部類になります。この辺りの硬度になると超砥粒を用いた加工のほうが効率が良いため、CBNがよく使われるのですが、WA系の砥石でも優れたものがありますので、こちらで加工するケースもあります。

スポンサーリンク

>ハイス鋼(SKH材)に適合する砥石についての先頭へ

砥石Q&A一覧へ戻る

ハイス鋼(SKH材)に適合する砥石についての関連記事とリンク

ダイヤモンドとCBNの違いについて
高速度工具鋼鋼材(SKH材)の用途、機械的性質、成分の一覧
WA砥石とは何ですか
研削砥石の種類
研削砥石の選び方
砥粒の種類

砥石からはじまり、工業技術や工具、材料等の情報を掲載しています。製造、生産技術、設備技術、金型技術、試作、実験、製品開発、設計、環境管理、安全、品質管理、営業、貿易、購買調達、資材、生産管理、物流、経理など製造業に関わりのあるさまざまな仕事や調べものの一助になれば幸いです。

このサイトについて

研削・研磨に関わる情報から、被削材となる鉄鋼やセラミックス、樹脂に至るまで主として製造業における各分野の職種で必要とされる情報を集め、提供しています。「専門的でわかりにくい」といわれる砥石や工業の世界。わかりやすく役に立つ情報掲載を心がけています。砥石選びや研削研磨でお困りのときに役立てていただければ幸いですが、工業系の分野で「こんな情報がほしい」などのリクエストがありましたら検討致しますのでご連絡ください。toishi.info@管理人

ダイヤモンド砥石のリンク集

研磨や研削だけでなく、製造業やものづくりに広く関わりのあるリンクを集めています。工業分野で必要とされる加工技術や材料に関する知識、事業運営に必要な知識には驚くほど共通項があります。研削・切削液、研削盤、砥石メーカー各社のサイトから工業分野や消費財ごとのメーカーをリンクしてまとめています。

研磨、研削、砥石リンク集