サンドペーパーの粗さについて

2010年9月28日更新

表面粗さに最も影響力のある「粒度=番手」

ものを研磨するための工具には、必ず砥粒の大きさの範囲が決められています。この砥粒の大きさの範囲を「粒度」といいますが、これが研磨する際に、加工しているものの表面の仕上がり具合、つまり面精度を決める最も大きな要素となります。したがって、どのくらいの粒度のものを使えばどの程度の仕上がりが期待できるのか、実際の加工を通じて経験的に知っておく必要があります。

砥石の種類によって番手の規格は違う

サンドペーパーに使う研磨材の粒度は、粗粒(P12からP220)についてはフルイを使って大きさを振り分けます。それ以上細かい「微粉」と呼ばれる粒度(P240からP2500)までは、フルイで分けるには細かすぎるため、沈降試験法や電気抵抗試験法によって大きさを分けていきます。砥石の粒度を調べる際に、気をつけねばならない点として、「砥粒や砥石の種類によって規格が異なる」という点が第一にあげられます。ダイヤモンドホイールやcBNホイールの粒度規格と、サンドペーパーの粒度規格は同じではありません。また外国にお住まいの方は、DIY用に購入された砥石の粒度表記が日本と異なることに気づかれたかもしれませんが、国によっても粒度の規格は少々異なります。こうしたことから、砥石の粗さを調べるときはどのような種類の砥石について調べるのかまずは特定する必要があります。

話を戻しますが、サンドペーパーの粗さを表記するのには、粒度という概念が使われます。一般には#220といった書き方をし、#はメッシュと呼びます。JIS規格では、Pという記号を数字の前につけて表記することになっています。また、番手(ばんて)が220、あるいは220番といった呼び方もされます。研磨材や砥石は使われる業界が文字通り千差万別ともいえる工具です。しかし、どの業界でも仕様や使う製品のスペック等が異なり、使う業界が違えば「標準」の基準も変わってしまいます。同じ仕様に見えても、DIY用と工業用とで異なるケースもあります。

サンドペーパーの粗さ表記、粒度の一覧

12番から220番までは「ふるい」を使って研磨材の大きさを選別します。ふるいは5段階あり、それぞれの「目開き(網目)」の大きさが違います。1段目が最も大きい目開きで、段々に細かくなり、最後の5段目が最も細かいものになります。累積網上量とは、5段目のふるいの上に残った粒子の割合です。

JIS R 6010 研磨布紙用研磨材の粒度による規定
粒度 5段目のふるいの目開き 累積網上量(%)
12 1.40mm 92以上
16 1.00mm 96以上
20 710µm 96以上
24 600µm 92以上
30 500µm 92以上
36 425µm 92以上
40 300µm 96以上
50 250µm 96以上
60 212µm 92以上
80 150µm 96以上
100 125µm 92以上
120 90µm 96以上
150 75µm 96以上
180 63µm 90以上
220 53µm 90以上

サンドペーパーの場合、240番から1200番までの粒度の選別には、篩(フルイ)ではなく、「沈降試験方法」を用います。研磨材の粒子の大きさはすべて同じというわけにはいきませんので、どこからどこまでの範囲にどれくらいの割合の粒子があるのか、という方法で分けています。累積沈降高さというと難しく感じますが、要は下表の例でいえば、240番は最大の研磨材の粒子の直径が110マイクロメートル以下、95%の粒子径は44.5マイクロメートル以上という意味です。

微粉(240番〜1200番)の粒度分布【単位:µm】
粒度 最大粒子径 累積沈降高さ3%の粒子径 累積沈降高さ50%の粒子径 累積沈降高さ95%の粒子径
240 110以下 81.7以下 58.5±2.0 44.5以上
280 101以下 74.0以下 52.2±2.0 39.2以上
320 94以下 66.8以下 46.2±1.5 34.2以上
360 87以下 60.3以下 40.5±1.5 29.6以上
400 81以下 53.9以下 35.0±1.5 25.2以上
500 77以下 48.3以下 30.2±1.5 21.5以上
600 72以下 43.0以下 25.8±1.0 18.0以上
800 67以下 38.1以下 21.8±1.0 15.1以上
1000 63以下 33.7以下 18.3±1.0 12.4以上
1200 58以下 29.7以下 15.3±1.0 10.2以上

微粉に分類される細粒のうち、1500番から2500番については「沈降試験方法」か「電気抵抗試験方法」のどちらかで粒度を選別することになっています。ただ、この場合、前者と後者とでは粒子径の範囲が変わりますので、より厳密にみる必要がある場合はどちらの試験方法によって粒度が決められたのか確認する必要があります。

※単位はいずれもµm

研磨布紙の1500番から2500番の粒径範囲
【沈降試験方法】
粒度 最大粒子径 累積沈降高さ3%の粒子径 累積沈降高さ50%の粒子径 累積沈降高さ95%の粒子径
1500 58以下 25.8以下 12.6±1.0 8.3以上
2000 58以下 22.4以下 10.3±0.8 6.7以上
2500 58以下 19.3以下 8.4±0.5 5.4以上
研磨布紙の1500番から2500番の粒径範囲
【電気抵抗試験方法】
粒度 最大粒子径 累積沈降高さ3%の粒子径 累積沈降高さ50%の粒子径 累積沈降高さ95%の粒子径
1500 30以下 20以下 9.7±0.8 5.5以上
2000 20以下 15以下 7.5±0.6 4.0以上
2500 18以下 13以下 6.0±0.4 3.0以上

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