SVHCの非含有証明書とは|SVHC調査フォーマットと対象となる高懸念物質の調べ方

2015年5月18日更新

SVHC調査対応の意味

SVHCとは、EU圏内で用いられている環境規制であるREACH(リーチ)規則で規定されている「高懸念物質」のことです。その意味するところは、こうした物質をEU圏内で使う場合には特別に許可を得る必要がある為、サプライヤーに対してはこれらをなるべく使用しない、あるいは代替材料へ変えていくよう仕向けるというような狙いがあります。

分野によってはすでにSVHC含有に制限を設けている企業もある為、この場合は、SVHC非含有であることが取引の基本条件にもなってきます。

高懸念物質は英語では「Substances of Very High Concern」となり、その頭文字をとって「SVHC」と呼称されていますが、その候補リストは161物質(2015年5月時点)を超え、リストへの追加も頻繁に検討されています。

EUにおける購入側としては、サプライヤーに対してこれら認可対象候補物質を自社の供給する製品に使っていないこと、あるいは使っている場合、どれくらい使っているかを明確にするような調査を行い、顧客側へ提示することが求められます。

SVHC調査に虚偽や誤りがあった場合の罰則や不利益

欧州(EU圏内)の環境規制は、世界でも類を見ないほど厳しいものになっており、一定量以上の原材料や化学物質をEU内で使う為には、登録が必要となります。REACHとして知られるこの環境規制には、様々なルールが束として存在します。REACHでは一定量以上、年間1トン以上という数量条件がついてきますが、SVHCについては、少量であっても対象となり、また原料や化学品などに該当しない「製品」であっても、調査対象になります。

これらが貿易の際に関わってくるのは、含有する物質によっては輸入通関の段階で貨物が止められてしまい、貨物の差し戻しが起きたり、輸入した後に判明して当局から罰則を課せられたりするリスクがあるからです。基本的には、EU側の買い手となるバイヤーがこれらの環境規制に適合するものかどうかを事前に調査し、必要な書類の作成を行った上で輸入することが基本となりますが、昨今、海外展開が進む中、グループ会社同士の取引も活発に行われています。この場合、輸出側となる本社で現地側のREACH規制についてもある程度見る必要が出てきます。コンプライアンス上、輸入者の責任とはいえ、違反があればグループ間取引による違反であり、自社の損失となる事には変わりありません。

こうした事情から、昨今は、海外展開する企業の中で環境規制対応そのものの旗振りを日本の本社側で行うことも一般的です。

SVHCリストの一覧

SVHCにあげられる候補物質は頻繁に追加されますので、非含有証明を行う場合はどのリストに基づいたものなのか明示する必要が出てきます。ある時点ではSVHCの非含有を証明できる製品であったものが、ある時点からは「含有」となってしまうこともあります。

ECHA(欧州化学品庁、欧州化学機関)によるSVHCのリスト一覧
欧州は法令等の最新ルールをウェブサイトで公布しており、他の欧州議会で可決されたルール等と同様、最新情報はつねにウェブサイトで確認する必要があります。

SVHC非含有証明書、調査フォーマットの例

国内企業同士の取引で、相手がEU圏へ輸出を行っているような場合、日本でSVHCの証明書を出すようなケースでは、下記のように日本語での非含有証明や調査回答を行う形となります。文書の体裁としては、一般的な社用文書の形で、社印や担当印等があれば問題ないかと思います。基本的に書かれていなければならない内容としては、「宛先」「対象製品」「対象物質」「含有の有無(もしくは含有量)」「社名」「部署・担当名・連絡先」「発行日」です。

相手企業からの依頼文書にならってタイトル等をつけることが一般的ですが、自社にて基準のある会社では、固有の表現を使っていることもあります。

発行日:

宛先:

社名・社印

(タイトル:)SVHC含有調査(ほかに、環境負荷物質使用有無証明書、SVHC物質群の含有調査、SVHC非含有証明書など)

弊社納入製品「AAA」は、下記調査対象物質の成分として意図的に使用していません。

ただし、本調査は製品のみを対象としており、梱包・包装材料は対象外としています。本証明にかかるいかなる損害が生じた場合でも、当社の責任は貴社に納入された当該製品の売買価格を限度とし、当社は特別損害、間接損害または拡大損害の賠償義務を負わないものとします。

社名:
部署名:
担当者名:

調査対象物質一覧






・・・・

SVHCにおける意図的含有とは

上記はかなりサプライヤー側の安全を見た内容になっています。「意図的含有」の問題は、こうした調査につきものの根深い問題の一つで、自社の工程では入りようがない物質であっても、それを製造するために使う各種材料や生産財、設備などから混入することがある為、こうした調査についてどこまで遡って調べればよいのか、という問題にもつながってきます。

直接使う原材料等の購入先までしか調べない、というメーカーが多いですが、これは客先との関係にもよるかと思います。遡るほどに調査時間とコストがかかり、難度も上がっていきます。

表現を「含有していない」とすると、製品を実際に分析してみる必要が出てくるわけですが、対象物質が多いことと、こうした依頼は頻繁にあり、かつ大口の顧客だけに限ったわけではない為、証明コストが非常にかかることになります。実際には製品そのものを分析して出す、ということを行っているメーカーは業界にもよりますが、少ない方ではないかと思います。このため、「意図的に含有していない」という便利な表現が使われます。自社の工程では添加していないということを言っています。本来の「証明」の趣旨からは若干異なるような気もしますが、コスト面からすべての分析を行うことには無理があります。

また、EU圏へ実際に対象となる製品を納入していて、万が一法令違反などの非違が起きた場合、実際には製品の売買価格ではとても賄えないほどの損害が発生することがあります。この場合の費用負担を行わない、ということを上記の文書では明記しています。

英語でのSVHC非含有調査回答の例

EU加盟国の企業と直接取引しているような場合は、SVHCの含有調査や非含有証明についても、英語での回答を求められることも少なくありません。基本的にはREACH規則を守ることを求められるのは現地側の企業である為、相手企業がそれら法令に対応する書式を作っていますので、そのフォーマットを送ってもらい、記入して送り返すというパターンが一般的です。

Substances of Very High Concern data reporting declaration

ABC corporation requests that your company confirm the quantity of Substances of Very High Concern, as identified on the candidate list referred to Article 59 of the REACH regulation (EC 1907/2006), that are contained with the products to be purchased.

Substances of Very High Concern: Annex XIV - candidate list updated on 17th December 2014.It is available at the ECHA website: http://echa.europa.eu/

Our product supplied to ABC corporation 1) contains or 2) doesn't contain SVHC listed in the candidate. please circle 1) or 2)

In case that your product contains SVHC candidate, please fill the below table.

Name of the product SVHC substances %
AAA BBB 0.2%

I declare that the above data is correct and true at the time of signature. I will update ABC corporation if there are changes to this data.

Company Name:
Your name:
Position:
Signature:

Date:

上記のフォーマットでは含有しているかどうかについて○で回答するようにしてあり、含有する物質がある場合は、その物質名称と含まれるパーセントを明記する方式です。

日本における証明書類は須らく印鑑、社印や担当者印が捺印されているものが多いですが、英文による証明書の場合、これらに対応するのは「署名(サイン)」になりますので、日付とともに自筆で記入します。

上記の英文でのSVHC含有調査の例では、EU内における準拠法についても明記しています。改正が割と頻繁にある分野の為、EUの取引先から依頼のある文書には明記されていることのほうが多いといえます。これら条文も、欧州化学品庁や欧州議会のウェブサイトで確認することができます。

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