最高出力と最大トルクの違い

2023年7月23日更新

自動車エンジンの性能・スペックを見るための指標に最高出力と最大トルクがあります。トルクがタイヤを回そうとする力のことを意味するのに対し、出力は馬力ともいいますが、どれだけ重いものを動かせるかを示す指標という違いがあります。両者はスムーズに加速する性能と、自動車の力強さを見るための指標です。

トルクと出力の違い
比較 単位 影響
最大出力 kW、PS、HP 高速走行時に加速の伸びがよくなる。エンジンの仕事量。
最大トルク N・m、kfg・m(kg・m) 車の発進時、急加速、急坂での性能。エンジンの回転力。

出力はトルクと回転数が大きいと増加

出力の計算方法を見ると、出力=トルク×回転数×係数の式になっているので、単純に他のパラメータが同じなら、トルクがあがると出力も上がります。ではトルクだけ高ければよいかというと、今度トルクを上げようとした場合、クランクアームを長くする必要があり、そうなると高速回転が難しくなります。

トルク向上には、エンジンを大きくして排気量アップさせたりターボ装着させたりする方法もありますが、いずれも個別の対策が必要です。総排気量の大きなエンジンというのは総じてトルクと出力がともに大きくなります。

最大トルクが大きいということは、自動車を動かすために必要な力、車のタイヤをまわそうとする力が大きいということです。車の加速力や、急な坂をのぼる性能を上げようと思うとトルクが必要です。

一方、トルクが低いエンジンでも高回転までスムーズにもっていけるなら、トルク×回転数×係数が出力となるので、最高出力自体を高出力にできます。

エンジンの回転数が上がると出力はあがるので、単位時間当たりの仕事量が大きくなります。回転数は「仕事をする速さ」であり、これに「仕事をする力」であるトルクをかけると出力になりますので、どちらかを上げれば出力自体は上がっています。

発進時はトルクが必要ですが、いったん加速した後は今度はいかに高回転にするかという点が重要になります。トルクを上げようとすると高回転になりにくいので一見相反するように見える指標ですが、トルクは加速後に一定のエンジン回転数に到達すると、最大トルクとなってそれ以上上がらなくなり減少していきます。吸気速度がエンジンのピストンの速さに追い付かなくなるためです。

出力はトルクが落ちた後も、最高出力目指して回転数上昇とともに上がり続けますが、ある程度の高速回転になるとこちらも吸排気が速さに追い付かなくなり、鈍化して減少に転じます。

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