砥石の品質検査はどのように行われていますか。

2011年3月6日更新

これは砥石メーカーによりけりといった側面が強いため、一概には言えませんが、砥石のチェック項目としては、以下のチェックは必須と考えられます。

砥石の品質チェックポイント

取り付けのための穴径精度

稀に購入したダイヤモンドホイールがきつくてフランジの固定側に入らないことがあります。これは気温によって台金が膨張や収縮することや、わずかなキズなどによって引き起こされることもありますが、そもそもどのような状態でも入らないという例もあります。寸法不良です。

ダイヤモンドホイールの穴径の測定は、通常は栓ゲージといわれる精密測定器具ではかりますが、これは精度の高い棒状の計測器具で、穴にこれを差し込んで、単純にはまるかどうかを確認します。この検査工程で、ノギスやマイクロメータを使っている場合は注意が必要です。また、穴の縁の部分は若干テーパーをつけてありますが、これがないと固定側フランジの軸がはまらないこともあります。穴に入らない場合は無理に押しこむと、砥石もフランジも傷んでしまうので手直しを依頼するか、ドライヤーで穴側のほうを温めてみるという方法もあります。

砥層の厚み、幅の均一性

ダイヤモンドホイールのように、砥層と台金が分離しているタイプの砥石では、砥層は最終的に均一な厚みや幅を保持しているものですが、中には寸法が狂っているものもあります。国内のダイヤモンドホイールメーカーであれば、こうした初歩的な寸法不良はほとんど目にしませんが、ないわけではありません。

砥層の色

砥石部分の色と言うのは砥石を構成する三つの要素のうち「ボンド」の色とも言えます。この部分はどの物質がどれくらいの割合で入れているのかという配合率によって決まっており、砥石メーカーそれぞれ固有のものを持っているため、メーカーによって色が違います。また焼きものゆえ、普段と若干色が違うということもないわけではありませんが、同じ仕様の製品を継続購入しているのに、突然普段と色が変わったという場合は確認してみてもよいでしょう。

砥層面の状態

納品前の状態の砥石は、表面を軽くドレス(目立て)されているものもありますが、稀に砥層部分に亀裂が入っていることがあります。ただでさえ高温になるので、熱膨張による負荷や加工時の圧力でこの亀裂はさらに広がることもあり、不良品といえます。

バランス

ホイール系は「砥石車」とも言われるくらいですから、回転したときに重さや真円度に偏りがあれば加工に差し支えます。大きく振動するほど偏心している場合は、加工以前に安全性にも問題があるといえます。したがって、重心がどこにあるのかというのはとても重要なチェックポイントです。実際には砥石は焼き物と同様にして作られるので、どうしても組織部分にムラが出てしまいます。またフランジとの取り付けも寸分の狂いなくというわけにはいかず、実際には微小ではありますが、誤差も発生します(「はめあい公差」の関係上)。こうした「ずれ」の重心を正す作業がバランス取りです。フランジ現合といって、砥石とフランジを装着した状態で納品してもらう場合は、バランスもとってあることが多いです。

台金の精度

台金の表面にキズなどがついていると、その部分は表面が盛り上がっている可能性があり、そこにフランジを取り付ければ当然精度には狂いが出てきます。購入したときにキズだらけの台金や著しく汚い台金などであった場合には注意が必要です。

精密なものになればなるほど、製作を依頼した段階で砥石や工具のどの部分の精度をどれくらいにしてもらうのか事前に図面で確認しておくことは必須となります。この精度が上がれば上がるほど工具の値段も上がり、手間もかかります。品質とコストのバランスを考えた砥石の選定が重要です。

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