H7などの記号で示される「はめあい公差」とは何ですか?

2019年8月23日更新

はめあい公差のH7とは

はめあい公差でいうH7は、対象となる部品の大きさによっても変わる値です。3mm以下の穴であれば、+10マイクロメートル(μm)、0まで、80mmを超え100mm以下ならば+35マイクロメートル(μm)、0というのがこのH7の公差となります。はめあい公差表の穴の公差域クラスのH7を見れば、寸法ごとに許される大きさがわかります。

なお、ミクロンの表記については、現在はマイクロメートル(μm)に変わっていますが、意味としては同じとなります。

そもそもはめあい公差とは

加工に用いるすべての部材、部品には「寸法公差」が設けられています。これは言い換えれば許容できる寸法範囲を指定したもので、仮に直径1mmのものを製作するにしても、1.000000mmのように、どこまでも0が続く完全な1mmというものは製作不可能です。そこでプラス方向、マイナス方向それぞれについてどのくらいの寸法のずれが許容できるのかを示した数値が「公差」です。

「はめあい」とは、軸と穴が互いにはまり合う関係のことを意味し、そのはまり具合の度合い(許容範囲)を示したものが「はめあい公差」です。例えば、穴と軸が完全に固定されて回転もしないようなものがよいのか、あるいは軸が常に回転するような部材なのかによって、穴と軸のはまり具合は変わります。

このはめあいの度合いは、きつさによって「すきまばめ」「中間ばめ」「しまりばめ」の三種類あります。

すきまばめ

軸と穴の例では、軸のほうが穴径より常に小さい状態です。軸や穴のついた工具側が回転運動などをする場合に用いられます。このとき、穴の最小寸法と軸の最大寸法の差を「最小すきま」、反対に穴の最大寸法と軸の最小寸法を「最大すきま」と呼びます。

しまりばめ

この場合、軸の最小直径のほうが穴径の最大寸法よりも大きい状態です。上記で「すきま」に相当するのが、こちらでは「しめしろ」といいます。

中間ばめ

これは実際の寸法によって「すきまばめ」もしくは「しまりばめ」のどちらにもなる可能性のある「はめあい」です。

実際に加工をするときには、穴基準で行なうのか軸基準で行なうのかによって狙うべき寸法が違います。ダイヤモンドホイールの穴径については、ほとんどの場合、H6かH7の公差が指定されています。これは研削盤側の軸(フランジ側)の公差の関係です。

穴基準のはめあい公差(すきまばめ、中間ばめ、しまりばめ)

公差の実際の寸法については、はめあい公差表(JIS規格による許容寸法一覧表)をご覧ください。

すきまばめ(穴)

基準穴 軸の公差域クラス
すきまばめ
H6           g5 h5
        f6 g6 h6
H7         f6 g6 h6
      e7 f7   h7
H8         f7   h7
      e8 f8   h8
    d9 e9      
H9     d8 e8     h8
  c9 d9 e9     h9
H10 b9 c9 d9        

中間ばめ(穴)

基準穴 軸の公差域クラス
中間ばめ
H6 js5 k5 m5  
js6 k6 m6  
H7 js6 k6 m6 n6
js7      

しまりばめ(穴)

基準穴 軸の公差域クラス
しまりばめ
H6              
n6 p6          
H7   p6 r6 s6 t6 u6 x6

軸基準のはめあい公差(すきまばめ、中間ばめ、しまりばめ)

公差の実際の寸法については、はめあい公差表(JIS規格による許容寸法一覧表)をご覧ください。

すきまばめ(軸)

基準軸 穴の公差域クラス
すきまばめ
h5             H6
h6         F6 G6 H6
        F7 G7 H7
h7       E7 F7   H7
        F8   H8
h8     D8 E8 F8   H8
    D9 E9     H9
h9     D8 E8     H8
  C9 D9 E9     H9
B10 C10 D10        

中間ばめ(軸)

基準軸 穴の公差域クラス
中間ばめ
h5 JS6 K6 M6  
h6 JS6 K6 M6 N6
JS7 K7 M7 N7

しまりばめ(軸)

基準軸 穴の公差域クラス
しまりばめ
h5 N6 P6          
h6   P6          
  P7 R7 S7 T7 U7 X7

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