ガラスのハマ欠け(ピリ欠け)で困っています。

2009年9月14日更新

ハマ欠けの原因と対策

ガラスのハマ欠けとは、貝殻のような形状をした「欠け」が主に端面部や板であれば角にできる現象です。小さい欠けは現場用語でピリとも言います。ガラスは非常に硬い素材で、量産用途ではダイヤモンドホイールを使って加工するのが一般的ですが、一方で脆い、割れやすいという性質もあわせ持ちます。近年、こうしたガラスを使う製品や部品の要求精度やスペックがあがってきており、従来は許容されていたわずかな欠けが不良品として弾かれるようになってきました。したがって、このハマ欠けやピリといった現象を一層シビアにコントロールしていく必要性が高まっています。

ハマ欠けの問題を解決するには、まずその主原因を特定する必要があります。それにはハマ欠けがどのような状況下で起きているのか観察して見極める必要があります。この現象が研磨工程で起きている場合、多くは「切れ味が出ていない」ということに起因するか、あるいは粒度や仕様、条件の不適合に起因します。ガラスの場合、金属材料と違い、1回の回転で削り取る量が多すぎると砥石側の損耗ではなく、ガラスのほうが割れてしまいます。

以下に特に研削・研磨工程でハマ欠けが発生している場合にチェックすべきポイントについて簡単に述べていきます。

どの工程で起こっているか

ある特定の工程だけでハマ欠けが起こっているようならば、その前後の工程を徹底的に見ていく必要があります。ガラスは元来、研磨しにくい素材です。というのも、その硬度からダイヤモンド砥石がよく使われるのですが、このダイヤモンドがガラスの表面で滑ってしまい、切り込んでいかない(食いつかない)という性質を持つからです。このため、ダイヤモンドの量(集中度)を減らし、一つの砥粒にかかる負荷をあげてガラスへ食い込んでいきやすくします。この際、深く切り込みすぎてしまうと欠けてしまいます。

工程のうち、いつ起こっているのか

砥石をあてはじめた瞬間や、最初に起きているのか、中盤なのか、終盤なのかを見ていく必要があります。このとき、砥石の回転方向(アップカットなのか、ダウンカットなのか)も確認します。

ワークのどの部分か

研削しているガラスのどの部分に発生しているのか調べます。また発生頻度や複数のワークで見られる場合、同じ箇所に出ているのかを観察します。

どのようなときにハマ欠けが起きているのか、現状について十分に把握した後、原因となっている可能性のある以下の諸条件を見ていきます。

ガラスの研削条件を再検討する

研削液(もしくは研削油)

ガラスの場合、ほとんどが水やソリュブルタイプの研削液が使われますが、まず研削点にきちんと液がかかっているのか見る必要があります。高速回転する砥石とガラスの接触点に適度に液がかかるよう、流量や角度を調整します。一見、問題ないように見えても、砥石が高速で回転していると液を弾いてしまい、実際の研削点にはほとんど液がかかっていないということもありますので注意が必要です。また切り屑や砥石の屑が研削点にまとわりつくのもあまりよくありません。適度な流量が必要です。

切り込み量(もしくは切り込み深さ)

ダイヤモンドホイールで研削する場合、このパラメータは1回の回転で削り取る量をある程度決定づけます。深すぎれば背分力がガラス側で受けきれず、周辺を根こそぎえぐってしまうため、欠けにつながります。

回転数

量産での生産を前提とした場合、生産効率に直接かかわってくるため、回転数はなるべく高速で使いたいところですが、切れ味が十分に出ていない場合、若干回転数を落として様子を見る方法もあります。

回転方向(アップカット、ダウンカット)

砥石の抜け際やあたりはじめにハマ欠けが発生している場合、回転方向を変えることで問題が解決する場合もあります。研削のときにかかる力については作業の始めと終わりには特に気をつける必要があります。

ダイヤモンドホイールの仕様変更を検討する

ガラスの欠けに影響する要素としては、下記のものが複合的に関連していると考えられます。

振れ精度

これは砥石に限らず、機械の振れも同様です。これらのどちらか、もしくは双方が大きすぎればハマ欠けの大きな原因となります。振れが発生した状態では、どんなによい工具や機械を使って条件をあわせても面品位の維持や欠けの発生を抑えるのには限度があります。想定されている範囲を超える振れが出ている場合、その発生原因を突き止め、まずはこの問題から解消する必要があります。

粒度

他の条件がすべて同じと仮定した場合、1回の回転でガラスを削り取る量を直接的に決定づける要素で、影響が一番大きいと思われます。ただ、粒度をこまかいものに下げれば欠けが減ったとしても、今度は研削に時間がかかってしまい生産効率が低下する可能性があります。粗い粒度のものほど、1段階の変更で砥粒のサイズが大きく変わってしまいますので注意が必要です。

砥石の外径、厚み

一般に、砥石の外径が小さいほうが振れ精度をコントロールしやすく、寸法精度が出しやすいとされます。また切れ味も出やすいことから、他の条件での解決が困難な場合、検討してみる価値はあると思います。また砥層(正味の砥石部分)を厚くすることで、クッション性が出てきますので、切り込み量を比較的浅く抑え、面精度の向上につなげられる可能性はあります。

ボンド

切り込みが最も深くなるボンドは電着です。反対に最も浅くなるのはレジンです。ガラスの加工では粗工程ではメタル、中仕上げではレジン、仕上げではセリウム砥石がよくつかわれますが、加工内容によってはすべて電着で仕上げる必要があるものもあります。 電着の場合、ダイヤモンドの突き出し高さは、電着砥石の表面を研磨するいわゆる「調研」でも調整ができる場合があります。

結合度(ボンドの硬さ)

一般的な硬さのガラスであれば、ボンドの硬さは、軟らかいほうがよく切れます。欠けが発生している場合は、硬いものよりもやわらかいものから試してみるのも手です。またガラスの中でも硬度が比較的高いものについては、結合度はそれなりに上げて硬くしたほうがよい場合があります。

集中度

この要素は切れ味には影響してきますが、大きく動かなさい限りあまり体感できるほどの変化は出にくいと言われます。ただ現行品の集中度がかなり低く設定されており、粒度を変更できないなどの条件がある場合は、一考の価値があります。

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