焼付硬化性鋼板とは

2013年2月2日更新

自動車用の鋼板として使われるタイプのもので、「加工性」と「強度」の両立をはかるために工夫された鋼板の一つ。通常、加工性がよいものは強度に難があり、例えば引張強さが強すぎればスプリングバックによって曲げ加工にも苦戦することになります。引張強度が高くなるほど成形性が悪化していきます。とはいえ、自動車用の鋼板の場合は、ほとんどの部分に一定以上の強度や衝撃耐性が求められます。

このため、焼付硬化性鋼板の発想としては、製造時、つまり自動車の部材への加工時には加工のしやすい状態で強度も不足しているが、完成したときには強度の強い状態になっているというコンセプトで開発されています。

具体的には鋼にもっとも影響する元素である「炭素」を、加工前の状態では固溶状態にしておきます。この状態からプレス加工を行うと、金属の持つ加工硬化の作用により、鋼板の硬度と強度が増します。ここから自動車への組み立てを行った際、加熱(焼付け)によって意図的に「ひずみ時効硬化」を生じさせ、プレス時よりもさらに硬い鋼板に仕上げていきます。このように焼付硬化は、製造工程のなかに鋼材を改質するための工程を組み込んでいます。

規格として焼付硬化による鋼板は、自動車用の冷間圧延高張力鋼板であるSPFC340Hがあります。

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