調質材とは

2021年8月14日更新

調質材とは、調質を行うことを前提にした材料を意味する場合と、調質をすでに施した材料を意味する場合とがあります。ほとんどのケースは、すでに調質を行ったことを意味する場合に使われ、反対語は生材(なまざい)となります。

調質の定義・内容が肝となるわけですが、これは熱処理と加工による2つの方法で、金属材料の強度を上げたり下げたり、寸法安定性を高めたり、耐食性を向上させたり、破壊靭性の特性改善を行ったりする技術です。調質なしでは使えない材料もあれば、調質しないことを前提にしている材料もあります。

例えば、S45Cの調質材を購入すると、焼き入れ・焼戻しが終えてある材料ということになりますので、生材の場合は、用途により熱処理を別途行う必要がありますがその手間が省けるということになります。

金属材料は生まれともいえる成分と、育ちといえる調質の組み合わせによって硬度や強度をはじめ、数々の性能パラメータを変化させることができます。種類によっては強度が10倍以上変わるものもあります。鉄鋼材料の多くは調質=熱処理となりますが、アルミのように熱処理だけでなく、加工硬化を利用した調質方法もあります。

焼入れ・焼戻しや焼きなましというのは代表的な熱処理方法で、調質を行う金属にはお馴染みの方法ですが、金属材料の種別、合金の種別により熱処理を行うものとそうではないものとに分けられます。

アルミ合金の場合、1000系、3000系、4000系、5000系は非熱処理合金と呼ばれ、これらの調質は加工の際に材料に力を加えることで硬化していく現象である加工硬化を利用して実施します。

2000系、6000系、7000系は熱処理合金となりますので、こうした熱による調質(溶体化処理→焼入れ→時効硬化処理)を行いますが、これは原子・分子のレベルで金属組織の調整を行う技法となります。高温で熱して冷ます、という流れです。

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