フィギュアのHSコードは何か

2023年11月12日更新

アニメキャラクターなどのフィギュアのHSコードの分類は、材質で分けるか、用途で分けるかという基準の違いによって大きく2つの候補があります。玩具(おもちゃ)の一種ということであれば、9503.00の中の「人形」に入りますが、これが樹脂製のフィギュアでプラスチック製品ということになれば、3926.40の「小像その他の装飾品」になります。

日本に輸入する場合は下表のようにこのどちらにするかによって関税額が異なります。9503項のほうであれば関税はかかりませんが、プラスチック製の小像であれば関税が4.8%かかってきます。仮に、輸送費込みで10万円相当のものを輸入した場合、3926項に分類すると4800円の関税を支払う必要が出てきます。

フィギュアのHSコード候補
HSコード 説明 関税
9503.00 人形その他これに類する娯楽用模型(作動するかしないかを問わない。) 関税0%(無税)
3926.40 プラスチック製の小像その他の装飾品 関税4.8%

2つのHSコードの候補がある場合の決め方

HSコードは、「関税率表の解釈に関する通則」というルールに従って決められますが、このなかに対象品が2つのHSコードに該当するようなとき、どのような基準で分類すべきかについても記載があります。

HSコードは上4桁の項をまずは決めますが、「最も特殊な限定をして記載をしている項が、これよりも一般的な記載をしている項に優先する」というルールが適用されます。これで決められない場合は、「当該物品に重要な特性を与えている材料又は構成要素から成るものとしてその所属を決定」というルールが適用されますが、フィギュアに限って言えば、最初のルールでも事足りることになります。

上記の例で言えば、3926項の「その他のプラスチック製品及び第39.01項から第39.14項までの材料(プラスチックを除く。)から成る製品」よりも、9503項の「人形その他これに類する娯楽用模型」のほうが特殊な限定をしていることになります。したがって、フィギュアが人形や娯楽用模型として認定されれば、HSコードは9503.00になります。反対に、これが置物や装飾品であり、人形ではない、娯楽用の模型ではないというような場合は3926.40が候補になります。

また通常は考えにくいですが、例えば芸術家がフィギュアを彫刻として製作したという場合は、美術品となる可能性があり、この場合は製作後100年を超えていれば9703.10となり、100年を超えていなければ9703.90となります。いずれも日本への輸入時の関税は無税となります。

なお、プラスチック製の小像という場合、3926項は以下の定義になっています。

3926
その他のプラスチック製品及び第39.01項から第39.14項までの材料(プラスチックを除く。)から成る製品

3901から3914項といっているのはプラスチックの種類のことでおおまかにいえば、そのフィギュアが下表の種類のプラスチックを使った小像ということであれば該当することになります。

プラスチック製品が該当するプラスチックの種類
HSコード(項) 種類
3901 ポリエチレンなどのエチレン重合体
3902 ポリプロピレン、ポリイソブチレンなど
3903 ポリスチレン、ABS、SANなど
3904 塩ビ、ポリ塩化ビニル、塩化ビニリデンなど
3905 ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニルなど
3906 アクリルなど
3907 ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリエステル、PET、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリ乳酸など
3908 ポリアミド、アラミドなど
3909 フェノール、ポリウレタン、アミノ樹脂、メラミン樹脂
3910 シリコーン
3911 石油樹脂、クマロン―インデン樹脂、ポリテルペン、ポリスルホンなど
3912 セルロースなど
3913 アルギン酸やその変性物
3914 上記の3901から3913の重合体をもとにしたイオン交換体

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