純鉄が錆びないというのは本当ですか

2012年9月4日更新

純鉄は全く錆びないというわけではなく、純度の高いものであればほとんど錆びない、すなわち大気中では腐食しないということが言えます。ただし、この錆びにくい性質は、鉄(Fe)の純度によります。純鉄には電解鉄や、カーボニル鉄、アームコ鉄などが知られますが、純度が99.9%や99.99%など3N(スリーナイン)や4N(フォーナイン)のものであれば錆びてしまいます。超高純度、例えば99.999%以上のものだと、ほとんど錆びないと言えます。

鉄は精製の過程で、炭素やケイ素、マンガン、硫黄、リンといった5元素のほか、他の元素が微量に「不純物」として混入しています。鉄鋼材料として使う場合は、これらの成分比を調整していくことになりますが、純鉄の場合は、こうした他の元素をすべて削ぎ落としていくことになります。

鉄の錆はこれらの不純物と鉄との合金が、大気中の酸素、水分などと結びつくことにより起きるため(不純物のうち、炭素が電極として作用)、Feだけにしてしまうと鉄表面から酸化鉄が脱落していくという電気化学的な反応が起きにくくなると考えられます。

なお、ステンレスの錆び難さというのはこのメカニズムとは異なり、表面に酸素と反応して出来たナノオーダーの薄い膜(不動態皮膜と呼びます)が保護膜として働いているためです。

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