砥石内部の空気について

2012年12月12日更新

砥石の三要素という言葉にあるとおり、砥石は大きく三つのものから出来ています。砥粒、ボンド、気孔です。砥粒とは研磨材の役割を果たすもので、アルミナや炭化ケイ素、ダイヤモンド、cBNなど一般的に非常に硬い物質です。ボンドは、これらの砥粒を固着させておく結合剤の役割を持ちます。そして、三つ目の「気孔」が砥石の中にある空孔の正体であり、砥石内部に空気を取り込んだり、排出させたりするものになります。砥石によっては容積比でいうと、砥石の50%近くまでがこの気孔になっているものもあります。つまり半分近くが空気ということですが、これらは一体何のためにあるのでしょうか。

この気孔は、穴のたくさん空いた軽石などをイメージするとわかりやすいのですが、砥石の一方から反対側までつながっているものと、独立したものとがあります。特殊な用途の砥石で気孔が存在しないものもありますが、気孔の果たす役割は非常に大きく、単に砥石内部に余分な空気があるというだけのものではありません。

砥石の気孔の持つ役割は、まず切り屑の排出が上げられます。研磨や研削で対象を削ったときに切りくずが発生し、砥石も削られるため、砥石側からも切り屑が出ます。これらは高速回転する砥石やワークにまとわりつくと、傷の原因になったり、目詰まりを起こしていきます。こうした研磨くず、研削くずの逃げ道として作用するのが気孔です。

そして、もう一つの役割が空冷といわれるもので、気孔の多い砥石ほどこの効果は顕著に出ます。手に磨く砥石ではなかなか想像がつきませんが、研削盤で用いる研削砥石やダイヤモンドホイールは高速でまわして用いるため、ワークと接触する部分の温度は、時に1000℃を超える高温になります。こうした高温が持続するとワークの焼けを引き起こし、砥粒を劣化させることで砥石の切れ味も低下させていくため、研削液などのクーラントをかけて冷やしていく必要がありますが、気孔のある砥石の場合、遠心力によって砥石の内部から外側に空気の通り道ができるため、研削点を冷却させる効果を持ちます。

切り屑を排出させ、加工点の温度を下げていく気孔は、砥石にとっては非常に地味で目立ちにくいですが、非常に重要な要素でもあります。

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