規格値と保証値の違い

2021年10月3日更新

工業製品の多くは規格値と保証値をうまく使い分けてカタログ等に掲載されており、両者の違いをよく理解して製品や材料の検討を行っていく必要があるといえます。

まず規格値とは、二通りの意味があり、社内規格において定められている規格値と、JIS規格をはじめとする公的な規格値があります。前者は顧客との取り決めと連動していることが多く、実質、品質管理上は顧客要求を満たすための上下限を定めている形のものが多いです。上限と下限の値を規格で定めており、その範囲に製品の仕様が入るようにするということになります。後者はJISをはじめとする規格に定められている値のことです。

ある製品について何らかの規格値が掲載されている場合、その製品が依拠している規格の値をのせているだけという場合と、その規格の範囲を満足させることができることを表わしている場合の2つのケースがあります。ただどちらにしても実際に計測されたデータ、いわゆる実測値ではないということを意味しています。

この規格を満足させる材料を使用している、その規格の範囲におさまるように設計している、あるいは近い製品の公的規格の規格値を参考値として掲載している、という意味合いで実際の値ではない点に注意が必要です。納入仕様の範囲を社内の規格値で定めているという場合もあります。

規格値をのせている製品についてはその対象となる規格で定められた値は守られている、あるいはその規格品と互換性があり代替可能ということを言外に主張しているとも言えます。

一方、保証値とはその製品を供給している会社が「提示している値は、必ず出る」ということを保証しているデータであって、購入後にその値が出ないのであれば契約違反ということにもなります。このため、実力値よりも若干低めになる傾向にあります。規格値と同じような使われ方はすることもありますが、範囲や基準を示すというよりは顧客に対して最低保証できる値を示しているケースが多いです。「納入先に対して保証できる値」という点に力点が置かれた表現です。

分野によってはメーカーが保証できる下限の値と言い換えることもできます。実際の材料選定や製品選びの際は保証値をベースに考える必要があります。

こうした用語の違いを使い分けている背景には、マーケティング上の理由もありますが、工業製品や材料の多くには少なからずばらつきが存在することも要因です。実測すると、規格よりもはるかによいチャンピオンデータのような値がとれることもあれば、反対に規格を満足できないこともあります。

また材料分野では顕著ですが、JIS規格の相当品をカタログでは規格値とともに紹介し、自社品がその規格に該当することを示しているケースもあります。

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