歯磨き粉の研磨剤の成分について

2011年11月9日更新

歯磨き粉の成分表示に含まれていることがある「研磨剤」とは一体何なのか、工業用のものと同じものが入っているのか気になったので調べてみました。

歯磨き粉の基本成分は、清掃剤(研磨剤)、湿潤剤、発泡剤、粘結剤、香味剤、保存料などですが、その種類や製品によっても含有率は相当異なります。その性状も、粉状のものから、一般的に使われる練り状、液状、液体のものまで多岐にわたります。

歯磨き粉に研磨剤を配合してあるタイプの製品は、歯にタバコやワイン、食品等からつく着色を除去する目的をうたったものが多いです。これも研磨の一種であるため、歯の表面をごく薄く削ることで、下にある真っ白い歯を露出させるという発想です。このため、あまり強く長期間にわたって磨くと、歯の表層が削れ、再生が追いつかないということも考えられます。

歯磨き粉は正確には歯磨剤と称呼されていますが、日本歯磨工業会のサイトにこの成分の一部が公開されています。中に配合されているものを目的別にみると、研磨剤のほかに、着色剤、保存料、保存剤、防腐剤、矯味剤、溶剤、可溶可剤、安定剤などが掲載されています。

研磨剤の目的として配合されている成分(会員企業の製品成分に基づく)には、以下のような物質が例として紹介されています。

  • 卵殻
  • 含水ケイ酸
  • 酸化チタン
  • 重質炭酸カルシウム
  • シリカ
  • 炭酸Ca
  • ヒドロキシアパタイト
  • ピロリン酸カルシウム
  • ピロリン酸2Ca
  • マイクロクリスタリンワックス
  • 無水ケイ酸
  • リン酸水素カルシウム
  • リン酸2Ca

【参考】歯磨き粉の成分一覧の例

また製品によっては、工業用でもよく使われるアルミナに似た部分も持つ水酸化アルミニウムが使われることもあります。

これらの成分の中には研磨剤の目的を担っているものの、他の目的も複数担っているものもあるため、一概に研磨材というわけにはいきませんが、工業用の研磨材とは大半が異なる顔ぶれです。それぞれによって歯を削り取る力は異なる他、配合されている量や他の物質との兼ね合いでも変化します。

歯磨き粉でDVDや車のヘッドライトを研磨した例などがあるように、樹脂系のものであれば十分に削れるほどの研磨力を持つものもあります。ただし、工業用のものに比べると、削り取る力というのはかなり弱いものであると言えます。硬くなってしまった歯垢、歯石除去などでなかなか効果が出づらいのは、これらが削れてしまうほどのものであれば、歯も同じように削れてしまうからです。歯ぐき等に傷つけたり、万が一飲み込んでもすぐに支障が出る物でも困ります。

歯は幾層もの構造を持っていますが、もの噛んだりする際に直接触れることになるエナメル質の硬さは、モース硬度で6前後といわれています。水晶が7とされているため、それと同等の硬さかそれ以上の硬さを持つことになります。歯の表層の着色部分を薄く削り落そうとするのであれば、それ相応の研磨作用を持つ物質が入っていないとなかなか研磨作用は起きません。

もっとも歯磨き粉の本来の役割は歯の表面を削ることではなく、口腔内の衛生を保つためのものなので、研磨剤(清掃剤)もそれに寄与するものとして配合されています。一般に、国内では歯肉や口腔粘膜などに影響がなく、通常の磨きで問題がないものが市販品として出回っています。

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