タイヤサイズの読み方

2023年8月20日更新

自動車のタイヤサイズは以下の写真にある通り、エンボス加工で数字とアルファベットの組み合わせの表示が側面になされており、これには固有の読み方があります。表示されている数字とアルファベットには、それぞれ意味がありますのでこの見方の詳細を見ていきます。これは別名ISO表示とも言われる形式でのタイヤ表示方法です。

タイヤサイズの表記と読み方

まず、タイヤのサイズは外径と内径、幅、高さで成り立っています。ISO方式でタイヤに表示されるのはこれらの一部とこの数字から計算された値、タイヤ構造、タイヤが耐えられる最大の重さとスピードです。

図で示すと以下のようになります。項目別にみていきます。

タイヤサイズ表記の見方

タイヤサイズ表記の意味

@タイヤ幅(mm)

断面幅ともいいます。総幅からタイヤ側面の文字や模様を引いた幅を示しています。タイヤ幅のもともと広いタイヤは以下の扁平率にも影響します。

車体(フェンダー)からタイヤがはみ出ると車検に通らなくなります。

A扁平率(%)

偏平率(読み方:へんぺいりつ)とも書きます。

扁平率(%)=タイヤ高さ÷タイヤ幅×100

上記の式で計算されます。

地面にタイヤが接している幅に対して、側面の高さ(タイヤの内径を除くゴムの部分)がどれくらいの比率であるかを示すのが扁平率です。同じタイヤ高さでもタイヤ幅が広くなると、扁平率は高くなりますし、反対に同じタイヤ幅でもタイヤ高さが低くなれば扁平率は低くなります。下図の赤矢印の部分が低い、つまりタイヤの空気の入っている部分が少ないのが低扁平のタイヤとなります。

タイヤの扁平率

一般に、扁平率が高いと燃費や乗り心地が良くなり、反対に低いとコーナリング性能、ハンドリングの応答性が高く、スポーツ走行を重視する場合に力を発揮します。

近年の乗用車は低扁平率化が進んでいます。

Bタイヤ構造

ここに表示されるのは「R」か「−」になり、タイヤの構造を示しています。Rはラジアルタイヤであることを示し、−と表記されている場合はバイアスタイヤであることを示しています。

タイヤには強度を上げるためにナイロンやポリエステルのコードで作られたカーカスと、スチールコードがゴムの下に巻いてありますが、この巻き方によってタイヤが二種に分かれます。

カーカスを構成するコードが放射状(直角に巻いてある)になっているものがラジアルタイヤで、高速走行時の操縦安定性や耐久性、耐摩耗性に優れています。ただ剛性が高いので凹凸路面での乗り心地は若干低下するとされます。

一方でバイアスタイヤはカーカスのコードが斜め方向に交互に巻いてあり、乗り心地に優れるタイヤですが、ラジアルタイヤに比べるとタイヤの変形が大きく急ブレーキや操縦安定性、耐摩耗性の面では劣るとされます。

Cリム径

ホイールのリム径をインチで示した部分です。タイヤが装着されるのがリムです。自動車のタイヤはホイールとセットになってはじめて機能します。

なお、ISO表示ではタイヤの外径が表示されていませんが、計算で出すことができます。

タイヤ外径(mm)=(リム径×25.4)+(タイヤ幅×偏平率×2)

リム径はインチ表示なので≒25.4mmで計算しています。

外径は純正のものから変えないほうがよいファクターのひとつです。外径を変えるとスピードメーターが正しく表示できなくなる、車体へ干渉する等のトラブルが起きることがあります。変更する場合も、外径はかえずにリム径である内径だけ大きなものに変えるインチアップと呼ばれる手法が一般的です。これを行うと、低扁平のタイヤとなります。

インチアップをした場合、外径誤差の許容範囲は、マイナス3%、プラス2%といわれています。

近年の自動車は重量増に伴ってタイヤは大径化する傾向にあります。タイヤサイズのうち外径が大径化すると、それだけ支えられる重さ(荷重指数)が増えます。リム径を大径化するのは、デザインの美しさのほか、ブレーキの大型化に対応する意図があります。また低扁平のタイヤにする場合、同じ外径と幅ならリム径が大きいほうが低扁平化します。

D荷重指数(ロードインデックス、LI)

負荷能力指数やロードインデックス(略してLI)ともいいます。タイヤ1本で支えることができる最大負荷の大きさを示しています。キロに換算すると下表の通りになります。

純正品よりも低いLIのタイヤへ変えるとバーストの危険性が増します。

荷重指数|負荷能力指数のキロ換算表
荷重指数(LI) 負荷能力(kg)
62 265
63 272
64 280
65 290
66 300
67 307
68 315
69 325
70 335
71 345
72 355
73 365
74 375
75 387
76 400
77 412
78 425
79 437
80 450
81 462
82 475
83 487
84 500
85 515
86 530
87 545
88 560
89 580
90 600
91 615
92 630
93 650
94 670
95 690
96 710
97 730
98 750
99 775
100 800
101 825
102 850
103 875
104 900
105 925
106 950
107 975
108 1000
109 1030
110 1060
111 1090
112 1120
113 1150
114 1180
115 1215
116 1250
117 1285
118 1320
119 1360
120 1400
121 1450

E速度記号

規定の条件でそのタイヤを使用することができる最大の速度を示す記号です。各アルファベットが示す最高速度は下表の通りとなります。

なお、スポーツカーやレーシングカーを想定したZRは速度カテゴリーとなります。最高速度300km/h超のタイヤの場合、速度カテゴリー「ZR」を記載したあとに、荷重指数と速度記号(Y)を表示することになっています。

速度記号と最高速度の対応表
速度記号 最高速度(km/h)
L 120
N 140
Q 160
R 170
S 180
T 190
H 210
V 240
W 270
Y 300
ZR 240超
(Y) 300超

スポンサーリンク

「タイヤサイズの読み方」の関連記事

>このページ「タイヤサイズの読み方」の先頭へ

砥石からはじまり、工業技術や工具、材料等の情報を掲載しています。製造、生産技術、設備技術、金型技術、試作、実験、製品開発、設計、環境管理、安全、品質管理、営業、貿易、購買調達、資材、生産管理、物流、経理など製造業に関わりのあるさまざまな仕事や調べものの一助になれば幸いです。

このサイトについて

研削・研磨に関わる情報から、被削材となる鉄鋼やセラミックス、樹脂に至るまで主として製造業における各分野の職種で必要とされる情報を集め、提供しています。「専門的でわかりにくい」といわれる砥石や工業の世界。わかりやすく役に立つ情報掲載を心がけています。砥石選びや研削研磨でお困りのときに役立てていただければ幸いですが、工業系の分野で「こんな情報がほしい」などのリクエストがありましたら検討致しますのでご連絡ください。toishi.info@管理人

ダイヤモンド砥石のリンク集

研磨や研削だけでなく、製造業やものづくりに広く関わりのあるリンクを集めています。工業分野で必要とされる加工技術や材料に関する知識、事業運営に必要な知識には驚くほど共通項があります。研削・切削液、研削盤、砥石メーカー各社のサイトから工業分野や消費財ごとのメーカーをリンクしてまとめています。

研磨、研削、砥石リンク集