材料市況とは

2022年3月20日更新

材料市況(読み方:ざいりょうしきょう)とは、鉄鋼材料や銅やアルミなどの非鉄金属、プラスチックをはじめとする樹脂材料、ゴム、石油等、製造業における製品のおおもとになる「原材料」に相当するものの市場価格の状況のことを意味しています。例えば、キロ当たりいくらだったものが、いくらに上がった、下がったという状況のことです。

こうした原料系の価格は市場価格が上がってしまうと、当然購入価格も有無を言わせず上がってきますので、製品製造における原価も上がり、販売価格にうまく転嫁できないと収益を圧迫し、減益要因になってきます。

材料市況によって原材料が高騰しているというような場合、社内的には利益減の要因説明として使われたり、顧客への価格転嫁が進んだ場合、売上増の要因説明として使われたりする指標です。材料市況 鉄鋼+〇〇という具合に説明がなされることが多いです。

現在のようにマーケットがグローバル化していると、無関係と思っていた国際情勢の影響や遠い国での出来事と思っていたことが価格に如実に表れてくることがあります。

影響する産業の範囲が広く、場合によってはインフレが起きる前にその兆候が出て来ます。例えば産業のコメと言われる鉄の市況が高騰してしまうと、非常に広い範囲の産業に影響が出てきます。最終的な販売価格にまで必ずしも転嫁できるわけではない為、サプライチェーンの中で「材料費が上がって、販売価格は据え置き」で泣くことになる企業もありますが、結果的に最終消費財の価格も上がっていくことになります。

製造にかかわる業界にとっては利益に直結していく要素であるため、売上分析や営業会議等でも重視される項目の一つです。

材料市況はマーケットの状態から誰でも確認ができますので、サプライヤーが値上げしたいがために出たらめを言っているということになりにくく、公平に見ることができる側面がある一方、その価格をそのまま顧客に転嫁できるかどうかは、B to B取引の場合、その業界の慣習や力関係にもよります。

バイヤー側から見ると市況が下がれば値下げ要請の根拠となりますし、販売側が見ると値上げ要請の説明根拠となるというデータでもあります。

市況に連動して価格が上がるという場合は、原料メーカーの多くがメガサプライヤーということもあり、基本的に拒むことが困難なケースが多いですが(レターで通告があり、それで値上げ。断ると供給が後回しになる等の不利益があることも)、バイヤーとの間で反映時期の条件交渉が行われます。

あるいはメガサプライヤーと直接取引しない大口需要家以外は、間に商社をはじめ販売店を経由するので、交渉により値上げ時期を遅らせたり、在庫分がなくなるまでは価格据え置きといった形で、値上げ反映の時期を極力遅らせる交渉が試みられる傾向があります。

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