本船動静の意味とは

2021年4月11日更新

本船動静(読み方:ほんせんどうせい)とは、貿易用語のひとつで、船便輸送における船ごとの航海状況・スケジュールをリアルタイムで示した情報のことを意味しています。英語では、Vessel MovementやVessel Scheduleと言いますのでこちらのほうがわかりやすいかもしれません。ほとんどの船会社は本船動静の検索ができるよう、ウェブで最新情報を公開、更新しています。

貿易で外洋を渡って貨物の運搬に使う船を英語ではvesselとよく呼称しますが、日本語では「本船(ほんせん)」と呼ぶことがあります。これは、もともとは大きな船や親船のことを意味し、沖に停泊して小型の船であるはしけで陸や港との間を行き来するタイプの大型船舶のことでした。転じて、貿易では主として外洋を航海して出発地と目的地の間を結ぶ船舶を本船と呼んだりします。フィーダー船などの二次船、いわゆる外国から入ってきた貨物を国内で振り分けたり、国内港への転送を行う内航船と区別して、本船という言い方がなされることもあります。

主要なトレードタームの一つであるFOB条件のことを本船渡しといったりもしますが、これはどちらかというと「この船」であることを示す指示代名詞的な使われ方の本船です。

なぜ本船動静が重要な意味を持つかといえば、航空輸送であればほとんどの航空機は1日で目的地の空港に到着するのに対し、船便の場合は日数がかかり、途中で寄港したり、別の船に貨物を移し替えて輸送をつないでいくといったことが多く、スケジュール通りに運航できないことが多々あるためです。

このため、リアルタイムで自社が依頼した貨物輸送の船がどこにあるのかを確認し、刻々と変わっていく着荷日時の変更情報を入手していくことで納期予測に役立てることができます。船便は重量物はじめ、多量の貨物を安く運ぶことができるのが最大のメリットですが、この輸送遅延があるため、輸入担当者はどのくらいの遅延を見越してスケジュールを立てるか、在庫をどれくらい持たねばならないのか頭を悩ませることになります。

1週間の遅延を見ていても、これが2週間、3週間遅延となることもあれば、自分の貨物を荷下ろしする港に止まらずに抜港してしまうこともあります。大型のコンテナ船の多くは決まった航路を行き来しますが、中には世界をほぼ1周するルートでまわっているものもあり、途中で何かあると遅延するだけでなく、前航海の遅延の影響や他船の遅延の影響も受けることがあります。

また船便は天候の影響も受けやすく、一度遅延すると玉突きのように立て続けに遅延が発生して長期間オンスケジュールに戻せないことも多々あります。港が混雑しているバース混みにも寄港地によってはよく遭遇し、そうした港でトランシップ(別の船へ積み荷を移す)があると、乗り換える予定の船が先に行ってしまい、そこで1週間留め置きというようなことも日常的に発生します。

このように船便にはもともとのスケジュールがあるといっても、そのスケジュール通りにいくという保証はなく、遅延しても依頼者である荷主の責任ということになるため、本船動静を確認しながら、依頼した品物が何時つくのかという確認を行う必要が出てくるというわけです。

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