陶器等に使われるMade in Occupied Japanとは価値の証なのか

2019年10月27日更新

Made in Occupied Japan(メイド・イン・オキュパイド・ジャパン)とは、直訳の通り「占領下の日本製」を意味し、第二次世界大戦直後、日本が連合軍総司令部であるGHQの占領下にあった時代に、日本で作られたものを輸出する際、この文言をつけることが同司令部の命令により義務付けられたものです。

この原産国表示のついた陶磁器、カメラ、おもちゃ等が米国をはじめとする諸外国でのコレクターの間では、価値のあるコレクターズ・アイテムのひとつとして扱われており、Occupied Japanを専門に扱う目録・カタログがあるほどです。陶磁器のことをChinaともいいますので、FINE CHINAの文字とともに、この独特の原産国表示がつけられている製品が残されています。

このMade in Occupied Japanは単にOccupied Japanとも表記されますが、正規の表示であれば、1947年(昭和22年)2月からサンフランシスコ講和条約が発効する1952年(昭和27年)4月までに作られた日本製品である可能性が高いということになり、それゆえ骨董的な価値があります。なお、1947年は戦後、日本で民間貿易が再開された年です。

GHQによるMade in Occupied Japanの表示義務については、947年(昭和22年)2月に指令として出されたものですが、その2年後の1949年2月に改正され、Occupiedの文言は原則として表示しなくてもよいようになりました。この際、3パターンの表示が認められるようになり、“Made in Occupied Japan”、“Made in Japan”もしくは、“Japan”のいずれかにするよう指令が出ています。

この直後の1950年前後からOccupiedの文言を削除して輸出していたメーカーもありますが、実際にはサンフランシスコ講和条約の発効前後まではこの原産国表示を続けた会社が多いとされます。

まだ世界の貿易ルールにおいて現在のWTO体制のようにはなっていないものの、当時も輸入時に原産国表示を法令で義務付ける国があり、米国、オーストラリア、カナダ等へ輸出する際には原産国の表記は必須でした。実際にはこれらの国以外への輸出についても表記を行うことが多く、1947年〜1952年前後の日本製には上記のような刻印がつけられた製品が諸外国に輸出されています。

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