インドのSVBとは|親子会社や関連会社間の貿易に必要なSVB order

2015年4月15日更新

SVBはSpecial Valuation Branchの略語で、インドに所在する会社が親子会社などの資本関係のある海外の関連会社から物品を輸入する場合に、低価格での取引を阻止することを目的とした制度です。SVB承認をSVB orderとも言います。関税率は、主としてCIF価格に対して掛けられる為、関連会社間において実際の金額よりも安い金額で取引されると当局の関税収入が減ってしまう、という事情があります。これを防止するために運用されている制度となります。

なお、SVBの所管する官庁(SVB当局)そのものについてもSVBと呼びます。これらSVB当局は、チェンナイ、コルカタ、デリー、バンガロール、ムンバイの5か所の税関にあります。日本でいうところの特殊関係にある会社からの輸入については当てはまる制度です。

この制度の要諦は、SVBの対象となる取引については事前に当局から承認を得る必要がある、というもので、主として当局側がいうところの「適正価格」での取引であるという証明が必要になります。一旦SVB承認されると、3年間は有効となりますが、この審査・承認には時間がかかる為、SVB承認前に輸入する必要がある場合やSVB承認が取得できない企業は、PD Bondと呼ばれる制度(担保金)を用いることになります。SVBもPD Bondもなしで、親子間や関連会社間での貿易はインドで行うことはできません。このため、SVB承認が取得できていない場合、利用する税関ごとにPD Bondの手続きが必要になりますので、輸入前の準備が必須となります。

SVBの承認には、letter of authorityと呼ばれる買取授権証書や、売買契約書、適正価格の理由、当局への質問状の回答、IEC番号、PAN番号をはじめ、多くの書類が必要になります。SVB当局がこの制度を使って「稼ぐ」という性質上、一般的な価格であっても親子間の取引となると適正価格として認められることは難しく、たいていは金額が上乗せされることになります。また、「関連会社の取引であるかどうか」についても、名称が似ている等の理由で判断されることが多い為、この辺についても注意が必要です。

輸入時には各種関税や諸税などを含め、おおむね28%前後が課税されるインドですが、これらに加えてさらにEDDと呼ばれる担保金を課せられることになります。SVBを取得していることで、あとで還付等の手続きも可能となりますが、現実には煩雑な手続きが必要となります。

量産等の工場では購入金額もそれなりになる為、SVBの承認の有無で輸入コストに差も出てきますが、承認に時間がかかることを念頭に手続きを進めていく必要があります。

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