貿易でのIN DIAの意味

2020年9月30日更新

貿易でのIN DIAというのは、インドの英語表記INDIAにスペースが間違って入っているわけではなく、ケースマークやシッピングマークの書類表記時に使われる固有の略語です。類似のものでIN TRIやPrint in Redというパターンもあります。

DIAは菱形、TRIは三角を意味しており、それにINがついているということは、「菱形の中に」「三角の中に」表記されている、という意味です。つまりケースマークに使われている図形が何かを示しています。Print in Redは赤文字で表記されている、の意味となります。

インボイスやパッキングリスト、原産地証明書等では頻繁に見ることのある用語で、通常、以下のような記載になっています。

SHIPPING MARK & NOS.

TOISHI(IN DIA)
C/NO. A-1
HAMBURG
MADE IN JAPAN

相手先英語名略称など (IN DIA)
C/NO. A-1 (ケースナンバー)
HAMBURG (行先の港、空港など)
MADE IN JAPAN (原産国)

TOISHIの文字がひし形の図形で囲われていることを示す表記例です。

PYRAMID (IN TRI)
JAKARTA
C/NO. 1
MADE IN JAPAN

DESCRIPTION
CHEMICAL AGENT 007

PYRAMIDの文字の部分が三角形で囲われていることを示しているシッピングマークのインボイス等の書類上の表記になります。このパターンは製品名も記載しています。

NHK-BBC (Print in Red)
INV.NO JA-1234
SHANGHAI, CHINA
C/NO. 1-101

NHK-BBCが赤字で書かれたケースマークであることを示す例です。

こうしたIN DIAやIN TRI, Print in Redの表記がある場合、実際のケースマークやシッピングマークでは下図のようになります。

ケースマークにIN DIAを使ったサンプル ケースマークにIN TRIを使ったサンプル ケースマークにPrint in Redを使ったサンプル

なぜIN DIAというような表記を用いるかといえば、インボイスには文字しか記載できないため、実際のケースマーク、シッピングマークとインボイスを照合したとき、使われている図形が何かを正しく表現するためです。品物の「特定」に使うため、現物についているものと、書類上の内容は同じである必要があります。

ケースマークに、こうした菱形をよく使う理由には諸説ありますが、空港、港湾では大量の貨物のやり取りが行われるため、目立つようにし、なおかつそれがケースマークやシッピングマークであることをわかるようにするためというのが通説です。

もちろん、ケースマークは特定の国での医薬品や危険物を除き、どのようなものにしても自由ですので、菱形で囲わなくても問題なく、最もシンプルなものであれば、単に1とか、Aとか書いてあるだけでもそれがケースマーク(シッピングマーク)として通用します。インボイスにテキストで表記できるものであれば、どのようなものでもケースマーク足りえます。

一般的には、輸入者や輸入者と輸出者双方の社名の略語やロゴなどのほか、数量やケースナンバーと呼ばれる番号、重量、仕向港(行先の港)、製品名や説明書き、原産国表記、取り扱い上の注意事項といった内容が記載されます。

多くは、相手社名ロゴ、ケースナンバー、仕向港、原産国といった3〜4項目のみ記載となります。ケースマークに詳細な情報を記載すると便利になる反面、ミスがあった場合など各貿易書類の訂正等が必要になったり、通関で止まったりといった不都合もあるので、最小限のシンプルなものが好まれます。もちろん、品物や用途によっては必要情報が逆に抜けていると通関で支障をきたすことがあります。国によっては、ケースマークやシッピングマークは必須としているところもあります。

ケースマークのことを荷印といいますが、このしるしの本来の役割は、荷物を特定し、現物と貿易書類であるインボイスやパッキングリスト、waybill、B/L等と照合することを容易にするためのものです。

したがって、インボイス等の貿易書類と、現物に張り付けられているケースマーク(シッピングマーク)は必ず同一である必要があり、IN DIAやIN TRIはインボイス上で図形を表現するための用語として使われ、Print in Redは白黒のインボイスの中でケースマークの特定の部分が赤文字であることを表現するために使われているというわけです。

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