貿易でのダイバージョンの意味とは

2020年10月4日更新

貿易の世界でダイバージョン(Diversion)といった場合、本来の目的地と違う場所で貨物をおろすことや、それに伴って貨物を転送することを意味します。揚げ地変更とも言います。転じて、「ダイバージョンをかける」とは不測の事態や緊急等の場合にルート変更するといった意味や、チャーター便などで特殊な輸送を行って輸送時間短縮やショートカットを行うことの意味で使われることもあります。広義には、「計画と異なる輸送ルートを使うこと」がダイバージョンとなります。

ダイバージョンの発生は、輸送の発注者たる荷主の都合で依頼する場合のほか、予期しない遅延、天候不順や悪天候、輸送手段の故障を伴う輸送トラブルの発生などの場合に見られます。不可抗力的な事由を伴って輸送ルート、揚げ地が変更となる場合は、そもそも輸送遅延につながることが多いため、注意が必要です。荷主が自分の意思で行う場合は、船が途中の経由港で遅延することが分かったので、急遽、途中の港でおろして陸送や空送などの別の輸送手段に切り替える場合が見受けられます。

当初の目的(港)とは違う場所でおろすことは、輸送業者がサービスの一つとして設けていることもあります。無料で実施する場合もあれば、船便の場合の多くは揚げ地変更料金(Diversion Charge)が別途必要になります。これは荷主の都合で、B/Lやwaybillに記載されている揚げ地と異なる港に変える場合には必要となる料金です。

ただしダイバージョンは100%実施可能なわけではなく、事前に契約に盛り込まれていない限り断られることもあります。というのも、コンテナ輸送の場合はコンテナ船に積み込む順番も、その貨物をおろす港の順に積載することが多いためです。コンテナは船倉から甲板の上にいたるまで次々に段積みして満載していることがほとんどですので、下に積んでしまったコンテナを出すには上に積んだすべてのコンテナをどかさねばならないという事情があります。国際輸送におけるコンテナ船は、多数の港に順番に寄港しながら一定のルートを巡回していることがほとんどです。ダイバージョンにて後からコンテナをおろす港を変える場合、変更前と変更後の港の寄港順番が近ければ問題なく実施可能なこともあります。

輸送の分野では、もともと航空機が、天候不良をはじめとする不測の事態で目的の飛行場に着陸できず、別の飛行場に着陸することをダイバージョンと呼んでおり、旅客として航空便を使う場合には実際に遭遇することもあることから、この意味での使用法のほうがメジャーかもしれません。ただ、貿易の場合は人が移動するのではなく、貨物の輸送となるので、冒頭の定義で使われていることがほとんどとなります。

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