中国から仕入れた不良品を返品するには|CCICによる不良品検査証明が必要

2021年9月19日更新

中国から輸入した製品に不良や不具合があった場合に返送するには貿易上どのような手続きが必要になるか以下にまとめていきます。ここでは主に取引金額の大きい業務用の貿易取引を想定しています。業務用の場合は特に、返品する相手先の貿易担当や営業担当へどのような方法で返送すべきかいったん打診してから行うのがよいでしょう。この内容によっては「品物は返品しなくてよい、無償で代替品を送る」という話になることもあります。

というのも、中国は輸入時の税額が何の減免も受けないとばかにならないことが多く、修理や交換を前提とした返品であっても適正な方法を用いないと現地側でかなりの費用を税関で徴収されることになるためです。

不良品を受け取るのに中国側でかかる費用

不良品を通常の貿易手続きにて、正規の売買品として同じように中国へ返送するという場合は、一般の貿易と同じように行うだけですので特別な手順は不要です。ただし、この場合、中国側では不良品を受け取るのに再度税金を支払う必要が出てきます。

例えば、評価額300万円の工業製品を中国から購入したものの不良品であることが分かったので修理のため中国現地へ返品するとしましょう。

このとき、輸入関税が8%、増値税13%、消費税対象外の物品とすると以下の計算方法により輸入時に必要な金額が計算できます。※金額ボリュームをわかりやすくするため、RMBではなく円で計算してみます。

3,000,000(CIF評価額) × 0.08(関税率) = 240,000(輸入関税)

(3,000,000 + 240,000)× 0.13(増値税率)= 421,200(増値税)

240,000 + 421,200 = 661,200円(輸入時に支払う税額:関税と増値税の合計)

300万円分の不良品を中国へ輸入するだけでかかる税金=661,200円

中国側の企業に非があるということになり、輸送費も購入した側で支払っており中国側で負担となれば、中国→相手国への輸送費、相手国→中国への輸送もこれに加えてかかります。

製品代金分の損失だけではすまず、金額が大きければ大きいほど税金だけで非常に大きな損失が発生することがわかります。上記では300万円の不良品を受け取るだけで、中国⇔日本間の往復を船便にしたとしても、荷量にもよりますが100万円近い税金と輸送費がかかることになります。

これは特に日本の本社が中国子会社に製品の製造を委託しているようなケースで連結対象となるグループ会社間の取引や貿易で発生すると、グループ全体の損失になってしまいます。

中国の製造子会社と日本本社との間の貿易で高額品の大規模な不良が発生したようなケースを想像してみるとわかりやすいですが、例えば不良品のCIF売買金額が3000万円になり、これを日本から中国へ返送して修正あるいは現地で別用途で使用というような場合、中国側へ通常の貿易方法で返送してしまうと、約660万円もの税金が中国輸入時に掛かってしまうことになります。これが3億円の不良品なら、税額も約6600万円といった具合に、税額も跳ね上がっていきます。

CCICによる不良品検査証明とは

上記事情のため、中国側で不良品を受け取る場合で、なおかつ中国側でそれが修理できる、あるいは再利用できるという場合、不良証明書(中国語)と言われる書面を出してほしいという要求が出てくることが多々あります。

この不良証明書、または不良品検査証明書をつけて輸出すると、原則、関税や増値税といった中国側でかかる税金は0となります。上記のケースでは300万円分不良品に対しては約66万円の税金が中国での輸入受け取り時に必要となるところが、66万円→0円になります。

ただし、不良品検査証明の作成というのは輸出側が好きに行うものではなく、指定された機関で行い証明書を発行してもらう必要があります。この機関というのは、中国の場合単に第三者機関というだけではだめで、中国政府の認可を受けた機関で「不良品検査証明」を出してもらう必要があるということになります。

その機関は1つしかなく、中国検験認証集団(CCIC)となります。ここは中国国有企業の検査機関で、各国に現地法人もありますが、日本の場合はCCIC JAPANがその窓口となります。不良品検査証明だけでなく、中古設備の輸出の際に必要になる船積み前検査や廃プラ・廃金属・古紙といったリサイクル品の出荷前検査等も行っています。

つまり、中国側で不良品を受け取りたいが、支払う税額を抑制したいという場合は、CCICの検査証明書を付ける必要があるということになります。

肝心の証明書の価格は、内容にもよりますが、一般的な不良品検査証明であれば、日本円で約24万円前後となります。これに現地側への送料を加えても中国側の関税や増値税のほうが高いという場合は、不良品検査証明をつけたほうがコスト面ではよいということになります。

上記の300万円の返品例でいえば、税金が約66万円ですので、CCICの証明書を約24万円で取得したほうがメリットがあるということになります。

免税のメリットを受けることができるのが中国側となる内容ですが、そのために必要な証明書を得るには、返送する側がCCICジャパンとコンタクトを取り、申請書を出し、状況説明書を作成し立ち会いも行う必要があるため、それなりに工数がかかります。このため、このスキームを使って免税を行うケースというのは、グループ会社間のものが多いと思われますが、継続取引を行っている企業同士の場合、こうした要請や契約にあらかじめこうした対応を行うことが明記されているケースもあります。

不良品検査証明書の発行手順

以下の順番での手続きが必要になります。端的に言えば、CCICに立会検査してもらい不良品検査証明書を発行してもらうことになります。この証明書を通関前までに現地へ送り、中国での輸入通関時に使用してもらうことで関税や増値税の免税をしてもらうということになります。

なお、立ち会いに際してはCCICは専門の検査員を派遣しますが、検査員の質問に応えられる方であれば立ち会い者はどなたでも問題ないことになっています。品質保証や品質管理の分野の人員が立ち会うのが望ましいとはされますが、物流やロジスティックス関係の人員が立ち会うこともあります。

  • 1)CCICからダウンロードできる申請用紙に必要事項を記載・他の必要書類とあわせて提出する。
  • 2)CCICと現物の検査立ち会い日時を決める
  • 3)現物検査に立ち会う
  • 4)CCICからの検査報告書のドラフトを受け取り中身確認しフィードバックする
  • 5)正式な不良品検査証明書の発行を受ける
  • 6)不良品検査証明書の原紙はクーリエ等で現地輸入担当へ送る。並行してコピーをPDF等で担当へ送っておく。

必要書類としては以下6点となります。

1. 不良品状況説明書
不良発生経緯、状況説明を文書にて日本側輸入者の社印付きで提出するものです。特に枚数や書式に制限はなく、わかりやすく、写真や図解等を用いたものがよいです。他社の検査員でもわかるような内容にする必要があります。
2. 分析・試験レポート
日本側の第三者検査機関や企業ラボ発行のもの。立ち会い時に不良が目視で確認できる場合は不要となります。多くは自社の検査報告書で代用可能です。上記の1とセットになっていることが多いです。
3. 不良製品、貨物の写真
1の中に写真が掲載されている場合、割愛できます。1の状況説明書に、2の分析と3の写真も掲載してしまえば、1〜3をあわせて1通の書類で済みます。この1〜3をまとめて3〜6枚程度でも十分な説明書です。
4. 輸入時のB/L・インボイス・パッキングリスト
インボイス・パッキングリストは何個輸入して何個不良だったかが分かる様にする必要があります。そのエビデンスとしての貿易書類となります。
5. 不良品返品検査申請書
これが実際のCCICへの証明書発行の申込書であり、同社への申請書となります。社印が必要となっていますが、部署印等でも代用できる場合があります。
以下が申請書フォーマットとなります。 CCICへの不良品返品検査申請書
6. 不良品情報リスト
4.と整合の取れている内容である必要があります。中国から輸出された時のインボイス・BLのそれぞれどの分から何個の不良が送り返されてくるのかを示すための書類です。
以下が不良品情報リストのサンプルです。 CCICへの不良品情報リスト

不良品検査証明書発行時の注意点

中国側で使っている品名・型番・型式に統一する必要があります。これは中国で不良品を実際に輸入通関し中国税関に説明する立場の方に意見を求めたほうが良いため、申請の段階と、ドラフトの段階で、証明書の本発行の前に中国側で書類を見てもらったほうがよいでしょう。

普段、中国側でどのように輸出通関しているかは現地側にしかわからず、それにあわせて税関側でわかりやすいように書類を準備しておく必要があるためです。

なお、不良品を返送する必要があるケースというのは、出荷した側でもその不良内容を確認したうえで補償対応したいという場合や、不良品を修理して再利用できる可能性がある場合です。不良であることが確実で送り返したところで捨てるしかないものを輸送費をかけて返送するメリットはありませんので、こうしたものである場合は、双方で相談し現物は輸送せずに廃棄するという方法が最も費用対効果は高いです。

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