STKM、機械構造用炭素鋼鋼管の規格と寸法公差、種類と比重について

2013年2月15日更新

機械構造用炭素鋼鋼管としては、成分、機械的性質の異なる22種類が規定されており、これらからさらに、製管方法によって継目無し(シームレス)鋼管を示すSや電縫鋼管(電気抵抗溶接管)を示すE、鍛接を示すBなどの記号がつけられ、仕上げ方法である熱間仕上げ(H)や冷間仕上げ(C)、電気抵抗溶接したままの状態(B)などの記号が付加されます。

例えば、STKM13Aの炭素鋼管で、熱間仕上げ継目無鋼管のものについては、STKM13A-S-Hもしくは、ハイフンのかわりにスペースを用いて、STKM13A S Hと表記されます。STKMの記号は、S=Steel、T=Tube、K=構造、M=Machineを意味しています。

いわゆる炭素鋼規格のうち、鋼管バージョンのものがこの規格ですが、STKMは配管用としての鋼管と違い、管の内側から圧力がかかることを想定していない為、スケジュール番号ごとの水圧試験の下限値等は設定されていません。

STKMは主に機械の部品として用いられることを想定した鋼管ですが、機械器具のほか、自動車、自転車、家具などの構造材料としても使われています。鋼管は中が空洞になっている中空構造のため、棒鋼をそのまま使うよりも軽量化をはかることができ、大口径のものにも対応可能です。サイズのバリエーションは、用途が用途だけに建築用や配管用などよりも種類が多く、検討前には寸法確認が必要です。

なお、鋼管の寸法は外径x肉厚x長さの順に表記される慣わしとなっています。

STKMの比重について

比重はベース7.85となっており、他の鉄鋼の規格と同様の値ですが、厳密には成分によって若干異なると考えられます。

STKMのサイズについて

STKMのサイズについては規格には規定がありません。機械構造用だけあってサイズのバリエーションが豊富ですが、サイズによって入手のしやすさもまた異なります。シームレス鋼管なのか、電縫鋼管なのかによってもサイズが異なります。個別に鋼管メーカーのカタログで確認する必要があります。サイズの許容公差については下記の通り、規格化されています。

STKMの寸法許容差(外径)

長さの許容差には原則として+50mm、-0mmとなっており、外径については下表の通りです。

STKMの外径の寸法公差(許容差)
区分 鋼管の外径サイズ(mm) 外径の許容差(mm)
1号(熱間仕上継目無鋼管が該当) 50未満 ±0.5
50以上 ±1%
2号 50未満 ±0.25
50以上 ±0.5%
3号 25未満 ±0.12
25以上40未満 ±0.15
40以上50未満 ±0.18
50以上60未満 ±0.20
60以上70未満 ±0.23
70以上80未満 ±0.25
80以上90未満 ±0.30
90以上100未満 ±0.40
100以上 ±0.50%

寸法公差としてどの号を使うかは、受渡しの当事者間にて取り決めることになっています。

STKMの製法による分類

鋼管は製法によって分けると、大きく「継目無し鋼管」と「溶接鋼管」の二つになり、それぞれについてさらに細目があります。

鋼管の種類と分類
鋼管の種類 継目無鋼管、シームレス鋼管 熱間仕上継目無鋼管
冷間仕上継目無鋼管
溶接鋼管 鍛接鋼管
電縫鋼管、電気抵抗溶接管
アーク溶接鋼管 UOE鋼管
スパイラル鋼管
ベンディングロール鋼管、板巻鋼管

継目無し鋼管とはシームレス鋼管ともいい、平たく言えば、鋼をくりぬいて管をつくるため、継目がありません。熱間仕上継目無鋼管と、冷間仕上げ継目無鋼管があります。対して、溶接鋼管とは、鋼板をまるめてパイプ状にしたところを溶接でつないで管にしたものです。鍛接鋼管、電縫鋼管(電気抵抗溶接管)、アーク溶接鋼管の3つがこれに該当します。

このうち、機械構造用炭素鋼鋼管であるSTKM系の鋼管は、以下の3つの製法パターンがあります。

  • シームレス(継目無し鋼管)
  • 電縫(電気抵抗溶接鋼管)
  • 鍛接鋼管

炭素鋼鋼管の場合、アーク溶接されたものは配管用として、別途JIS G 3457にて規格化されています。これは使用圧力が比較的低いものが想定されています。

「JIS G 3445 機械構造用炭素鋼鋼管」に規定のある材料記号

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