ボイラ・熱交換器用合金鋼鋼管|STBA鋼管の特徴と種類

2014年2月17日更新

鋼管に合金鋼が用いられるケースは、炭素鋼に比べて特殊な場合が多く、ほとんどは炭素鋼の代替としてではなく、固有の合金鋼でしか仕様を満たすことができない環境での利用というケースになります。一般的には、炭素鋼鋼管では要求を満たせない高温圧力が想定されるような場合です。あまり市場に出回っている鋼管ではなく、合金鋼の価格のこともあり、汎用的な鋼管ではありません。

熱伝達用の合金鋼鋼管としてJISで規格化されているのは、モリブデン鋼とクロムモリブデン鋼の二種となり、規格材料としては、8種類が存在します。

いずれもボイラーや化学工業、その関連設備・類似設備での利用が想定されたもので、用途としては、水管、煙管、過熱器管、空気予熱器管、コンデンサ管、触媒管、コンデンサ管等です。熱の伝達を担う部分であり、管の内側、外側ともに高温になることが多い用途です。

この合金鋼鋼管で使われているモリブデン鋼、クロムモリブデン鋼ともに高温強度が高く(高温環境でも強度が低下しにくい)、靭性や機械的性質にも優れています。

また、合金鋼は炭素鋼に比べて、寸法効果が小さくすむ為、大型の部材などでマスエフェクトの影響を最小限に抑える必要がある場合にも検討されることがあります。

熱伝達用自体がボイラー等に使われることもあり、仕様の厳しいものとなりますが、規格にて規定されている内容としては、鋼種ごとの熱処理や製管方法、成分、機械的強度(引張強さ、伸び、耐力、降伏点)、扁平性、押し広げ性、展開性、水圧試験特性、非破壊試験特性、寸法、質量、許容公差、外観、分析方法、硬度、高温引張試験における降伏点、超音波探傷試験、渦流探傷試験など多岐にわたります。

汎用的な構造用鋼管にはないスペックが要求されますので、こうした部分は自ずとコストにも跳ね返ってきます。性能を見極め、効果的に活用したい材料です。

「JIS G 3462 ボイラ・熱交換器用合金鋼鋼管」に規定のある材料記号

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