SPHEの機械的性質の規格|板厚、降伏点、比重

2013年2月9日更新

SPHEは深絞り用として規定された加工性と変形性に優れた熱間圧延鋼板です。深絞り性については需要者と供給者の間で別途取り決めてもよいことになっています。引張強さは下限値が共通設定された270MPa以上で、上限を決める場合は400MPaとすることもできます。炭素量が少なく、軟鋼の分類でいえば「極軟鋼」に相当します。

SPHEの比重

熱間圧延鋼板であるSPH材はすべて7.85を比重の基本としています。

SPHEの成分

SPHEの成分規定については、炭素、マンガン、リン、硫黄の四元素について上限値がそれぞれ決められています。

SPHEの成分
鋼板の種類 C(炭素) Mn(マンガン) P(リン) S(硫黄)
SPHE 0.08以下 0.40以下 0.030以下 0.030以下

SPHEの機械的性質

SPHEの機械的性質のうち、伸びは板厚によって規格値は異なってきます。厚みのあるものほど伸びが大きくなる傾向があります。引張強さは270MPa以上の下限値が共通して設定されていますが、状況によって上限値を定めてもよいことになっています。

SPHEの機械的性質(引張強さ、伸び)
鋼板の種類 引張強さ(N/mm2) 伸び(%)
板厚1.2mm以上1.6mm未満 板厚1.6mm以上2.0mm未満 板厚2.0mm以上2.5mm未満 板厚2.5mm以上3.2mm未満 板厚3.2mm以上4.0mm未満 板厚4.0mm以上
SPHE(上限値400に設定可) 270以上 32以上 34以上 35以上 37以上 39以上 41以上

SPHEの板厚

標準の板厚としては下表のものになります。深絞り用として規定されたSPHE材で1.2mmから8mmとなっています。

SPHEの板厚の種類(1.2mm以上14mm以下)
板厚(単位:mm)
1.2
1.4
1.6
1.8
2.0
2.3
2.5
2.6※
2.8
2.9※
3.2
3.6
4.0
4.5
5.0
5.6
6.0
7.0
8.0

SPHEの板厚の許容公差

板の幅に対して、許容される板厚の公差は下記の通り決まっています。

SPHEの板厚の許容公差
板厚 板の幅(mm)
1200未満 1200以上1500未満 1500以上1800未満 1800以上2300以下
1.60未満 ±0.14 ±0.15 ±0.16(幅1600未満のときのみ)
1.60以上2.00未満 ±0.16 ±0.17 ±0.18 ±0.21(幅2000未満のときのみ)
2.00以上2.50未満 ±0.17 ±0.19 ±0.21 ±0.25(幅2000未満のときのみ)
2.50以上3.15未満 ±0.19 ±0.21 ±0.24 ±0.26
3.15以上4.00未満 ±0.21 ±0.23 ±0.26 ±0.27
4.00以上5.00未満 ±0.24 ±0.26 ±0.28 ±0.29
5.00以上6.00未満 ±0.26 ±0.28 ±0.29 ±0.31
6.00以上8.00未満 ±0.29 ±0.30 ±0.31 ±0.35
8.00以上10.0未満 ±0.32 ±0.33 ±0.34 ±0.40
10.0以上12.5未満 ±0.35 ±0.36 ±0.37 ±0.45
12.5以上14.0以下 ±0.38 ±0.39 ±0.40 ±0.50

「JIS G 3131 熱間圧延軟鋼板及び鋼帯」に規定のある鋼板の種類と材料記号

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