SNR490Bの規格|JISによるSNR鋼材の強度、機械的性質、降伏点、成分、材質

2014年3月1日更新

SNR490Bは建築構造用圧延棒鋼のひとつで、三種類あるうちのSNR材の中では最も引張強度に優れたタイプとなります。降伏比が設定されており、伸びやシャルピー衝撃値等についても規定にあるため、靭性が求められる建築材料、例えばアンカーボルト等へ用いられます。鋼材は硬度だけを追求していくと、粘りである靭性が低くなり、脆くなってしまうため、地震などの揺れや衝撃を受け、一定の限度を超えると破断してしまいます。

また、この鋼材は溶接されること考慮し、炭素当量や溶接割れ感受性についても規定値に盛り込まれています。溶接を考慮したマンガン量の多さと、不純物が低水準に抑えられている点が目を引きます。炭素量が少ないのは、伸びと衝撃値に配慮したものです。

SNR490Bの成分、材質

SNR490Bの成分、材質
SNR鋼材の種類 寸法、サイズ(径もしくは対辺距離) C Si Mn P S
SNR490B 6mm以上50mm以下 0.18以下 0.55以下 1.60以下 0.030以下 0.030以下
50mmを超え100mm以下 0.20以下 0.55以下 1.60以下 0.030以下 0.030以下

SNR490Bの機械的性質|降伏点、耐力、引張強さ、降伏比、伸び

SNR490Bの降伏点、耐力、引張強さ、降伏比、伸び|
寸法は、径または対辺距離を示しています。
SNR鋼材の種類 降伏点、耐力
N/mm2
引張強さ
N/mm2
降伏比
伸び
6mm以上12mm未満 12mm以上40mm以下 40mmを超え100mm以下 6mm以上12mm未満 12mm以上100mm以下 6mm以上25mmm以下(2号試験片) 25mmを超え100mm以下(14A号試験片)
SNR490B 325以上 325以上445以下 295以上415以下 490以上610以下 - 80以下 20以上 21以上

SNR490Bのシャルピー吸収エネルギー

SNR490Bには、シャルピー衝撃値を見るための数値が設定されています。

SNR490Bのシャルピー吸収エネルギー
SNR鋼材の種類 試験温度(℃) シャルピー吸収エネルギー(J) 試験片
SNR490B 0℃ 27以上 Vノッチ圧延方向

SNR490Bの炭素当量、溶接割れ感受性組成

SNR490Bは溶接を行うことが想定されているため、取り決めにより炭素当量か溶接割れ感受性組成のいずれかを用いることになります。炭素当量としては、40mm以下で0.44%以下、40mmを超え100mm以下の場合は0.46%以下となります。溶接割れ感受性組成については0.29%以下となります。

計算式は以下のとおりとなります。

  • 炭素当量(Ceq)=C+Mn/6+Si/24+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/14
  • 溶接割れ感受性組成(Pcm)=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5B

SNR490B、SNR鋼材の寸法公差、許容公差

SNR鋼材の許容公差
径または対辺距離 許容差
6mm以上16mm以下 +0.5、−0.3
16mmを超え32mm以下 +0.7、−0.3
32mmを超え63mm以下 +1.1、−0.5
63mmを超え100mm以下 +1.8、−0.5

「JIS G 3138 建築構造用圧延棒鋼」に規定のある材料記号

スポンサーリンク

>このページ「SNR490Bの規格|JISによるSNR鋼材の強度、機械的性質、降伏点、成分、材質」の先頭へ

加工材料の性質と特徴(目次)へ戻る

SNR490Bの規格|JISによるSNR鋼材の強度、機械的性質、降伏点、成分、材質の関連記事とリンク

ネジ規格と寸法|ネジのサイズからJIS、メートルネジ、インチネジの規格表
ボルトの強度区分について
SN材の特徴と規格、成分など|建築構造用圧延鋼材の種類
一般構造用圧延鋼材(SS材)
低降伏比高張力鋼とは
高張力鋼、ハイテン材とは
低降伏比のメリット、降伏比とは
機械構造用炭素鋼鋼管(STKM材)の規格と寸法公差、種類と比重について
自動車構造用電気抵抗溶接炭素鋼鋼管、STAM鋼管の種類と用途、特徴、規格
一般構造用炭素鋼鋼管(STK鋼管)の種類|規格、材質、寸法表
炭素鋼と合金鋼の違いと使い分け
軟鋼
金属の疲労強度、耐疲労性
金属の靱性、ねばり強さ(靭り強さ、粘り強さ)
冷間加工と熱間加工の違い
鉄鋼、鉄、炭素鋼、ステンレス、鋳鉄、超硬の熱膨張係数
金属の熱伝導率の一覧表
鉄鋼材料、鉄、炭素鋼、工具鋼の比重
鉄鋼、炭素鋼、鋳鉄、純鉄、ステンレスの熱伝導率
鉄鋼、鉄、炭素鋼、ステンレス、ハイスの比熱
鉄鋼、鉄、炭素鋼、ステンレスの電気抵抗
金属単体の比重、密度の一覧表
金属の融点、沸点の一覧表
金属の熱伝導率の一覧表
金属材料の硬度の一覧と比較
合金元素の果たす役割

砥石からはじまり、工業技術や工具、材料等の情報を掲載しています。製造、生産技術、設備技術、金型技術、試作、実験、製品開発、設計、環境管理、安全、品質管理、営業、貿易、購買調達、資材、生産管理、物流、経理など製造業に関わりのあるさまざまな仕事や調べものの一助になれば幸いです。

このサイトについて

研削・研磨に関わる情報から、被削材となる鉄鋼やセラミックス、樹脂に至るまで主として製造業における各分野の職種で必要とされる情報を集め、提供しています。「専門的でわかりにくい」といわれる砥石や工業の世界。わかりやすく役に立つ情報掲載を心がけています。砥石選びや研削研磨でお困りのときに役立てていただければ幸いですが、工業系の分野で「こんな情報がほしい」などのリクエストがありましたら検討致しますのでご連絡ください。toishi.info@管理人

ダイヤモンド砥石のリンク集

研磨や研削だけでなく、製造業やものづくりに広く関わりのあるリンクを集めています。工業分野で必要とされる加工技術や材料に関する知識、事業運営に必要な知識には驚くほど共通項があります。研削・切削液、研削盤、砥石メーカー各社のサイトから工業分野や消費財ごとのメーカーをリンクしてまとめています。

研磨、研削、砥石リンク集