特殊用途合金鋼ボルト用棒鋼|JISによるSNB21、SNB22、SNB23、SNB24の規格

2014年3月1日更新

ボルト用に規格化されている合金鋼として、JISではSNB21、SNB22、SNB23、SNB24の4種類があり、それぞれについて機械的性質ごとにSNB21-1やSNB23-1、SNB23-3、SNB24-3、SNB24-5といった細分ごとに材料記号が分かれています。1種あたりに対して、1号から5号の細分があるので、細かく言えば、合計20種類あることになります。

もともとは原子炉、原子力発電設備等に用いる特殊用途のボルトを想定したものであり、汎用的に目にする材料とは異なる鋼材です。強度区分が12.9のボルトでもこの材料を素材にしているものを見ることは稀です。

鋼材そのものがクロムモリブデン鋼、クロムモリブデンバナジウム鋼、ニッケルクロムモリブデン鋼といった高価な材料でもあり、ボルトとして使うには用途を選ぶ鉄鋼材料といえます。ほとんどの用途ではオーバースペックとなるほどの性能を持ちます。他に、ボルト用の合金鋼材としては、高温用を想定したSNB7、SNB16、SNB5などの鋼材がJIS規格にはありますが、こちらはボイラーなどの高温環境における用途があるため、本規格のSNB材よりは目にする部類かと思います。

ボルトとして使われる鋼材はSS400、S20C、S45C、SWCHなどの炭素鋼系の汎用材料からSCM435、SCM440といったクロモリ鋼、SNB7などの高温用高強度合金鋼などがありますが、その中でも本規格が対象とする材料は、最低の引張強度が1000MPaを超えるものが少なくなく、加えて鋼材成分の特殊性から一般的なボルト材ではありません。

用途が原子力設備を想定していただけに、成分や機械的性質の規定だけでなく、衝撃に対する強さをみるためのシャルピー衝撃試験も−12℃という厳しい条件で行うことになっています。さらに、通常の鉄鋼材料の規格であれば寸法や許容公差だけでの規定となりますが、このボルト用合金鋼では、表面のキズの深さについても許容限度がmm単位で設定されています。外観について問題ないこと、とする材料規格は多いですが、傷の深さやその最大値についてまで規定するものはあまり多くありません。

ここまでの性能や強度を求められるものは限られてきますが、逆に他の鋼材ではスペックが足りないと言うような状況では威力を発揮する鋼種といえます。

ボルト用合金鋼の傷深さ

高強度用のボルトとしての棒材であり、表面のキズ深さについては下表のように取り決められています。

ボルト用合金鋼の傷深さの許容値について
合金鋼の径(mm) 呼称寸法からの傷深さの許容限度
16mm未満 呼称寸法の4%以下、但し、最大でも0.5mmまで
16mm以上50mm未満 呼称寸法の3%以下、但し、最大でも1.0mmまで
50mm以上100mm未満 呼称寸法の2%以下、但し、最大でも1.5mmまで
100mm以上 呼称寸法の1.5%以下、但し、最大でも3.0mmまで

ボルト用合金鋼の長さや径などの寸法の許容差

SNB21、SNB22、SNB23、SNB24について、いずれも長さや直径の許容公差としては以下の基準が用いられます。

ボルト用合金鋼(SNB材)の長さや径などの寸法の許容差
径(直径)の許容差 ±1.5%、ただし、最小値は0.4mm。
偏径差 径の許容差範囲の70%以下
長さの許容差(7メートル以下) +40mm, 0mm
長さの許容差(7メートルを超えるもの) 長さ1メートル(あるいはその端数)を増すごとに+40mmに5mmを加算。ただし、マイナス側の許容差は常に0mm。
曲がり 1メートルについて3mm以下。全長に対しては、「3mm x 長さ/1m」以下

「JIS G 4108 特殊用途合金鋼ボルト用棒鋼」に規定のある材料記号

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