SCPH61の材質と成分、比重、機械的性質|高温高圧用鋳鋼品−炭素鋼鋳鋼品

2016年6月24日更新

SCPH61はクロムモリブデン鋼の鋳物のうち、高温環境や高圧環境といった、主に配管系まわりでの使用を想定された材料です。

高温高圧用鋳鋼品としては、もっともクロムの含有量の多い組成を持つ材料でもあります。ただし、ステンレス鋼のほどの耐食性はないため、触れる溶液や気体などの種類によってはそうしたものの耐食性に優れる材料を検討することになります。

SCPH61の比重

比重については規定はありませんが、成分から概算を算出する場合は、下記の計算式があります。

鉄鋼材料の基本となる比重である7.876を基準に、含有している炭素量から概算を割り出す方法です。

  • 比重=7.876−0.030×炭素(%)

基本的に、鋼材の成分はとりべ分析値になるため、実際の鋼材との間には多少の誤差やバラつきがでることもあります。

SCPH61の成分、材質

SCPH61の成分、材質
材料記号 C Si Mn P S Cr Mo V
SCPH61 0.20以下 0.75以下 0.50から0.80 0.040以下 0.040以下 4.00から6.50 0.45から0.65 -

成分上、SCPH61の不純物の上限値

SCPH61の不純物成分の上限規格値(%)
材料記号 Cu Ni Cr Mo W 合計
SCPH61 0.50以下 0.50以下 - - 0.10以下 1.00以下

SCPH61の機械的性質

SCPH61の降伏点、耐力、引張強さ、伸び、絞り
材料記号 降伏点、耐力
N/mm2
引張強さ
N/mm2
伸び
絞り
SCPH61 410以上 620以上 17以上 35以上

「JIS G 5151 高温高圧用鋳鋼品」(1991年改訂)に規定のある材料記号

総じて高温高圧用の炭素鋼鋳鋼品の規格といって差し支えないですが、厳密には炭素鋼の中でも以下のようにクロモリ鋼に相当する鋳鋼品があります。

スポンサーリンク

>このページ「SCPH61の材質と成分、比重、機械的性質|高温高圧用鋳鋼品−炭素鋼鋳鋼品」の先頭へ

加工材料の性質と特徴(目次)へ戻る

SCPH61の材質と成分、比重、機械的性質|高温高圧用鋳鋼品−炭素鋼鋳鋼品の関連記事とリンク

SCS(ステンレス鋳鋼品)の種類と材質、成分、規格
アルミニウム合金鋳物の種類の一覧
アルミダイカスト(ADC材)の成分と種類、特徴|材質、比重、機械的性質など
銅合金鋳物、鋳造品の用途、成分、種類、記号について
クロムモリブデン鋼鋼材(SCM材)の用途、機械的性質、成分の一覧
鍛造と鋳造の違い
鋳造と鍛造の使い分け
炭素鋼鋳鋼品(SC材)の用途、機械的性質、成分の一覧
鋼、鉄、鋳鉄はそれぞれ何が違うか
鉄鋼、鉄、炭素鋼、ステンレス、鋳鉄、超硬の熱膨張係数
金属の熱伝導率の一覧表
鉄鋼材料、鉄、炭素鋼、工具鋼の比重
鉄鋼、炭素鋼、鋳鉄、純鉄、ステンレスの熱伝導率
鉄鋼、鉄、炭素鋼、ステンレス、ハイスの比熱
鉄鋼、鉄、炭素鋼、ステンレスの電気抵抗
金属単体の比重、密度の一覧表
金属の融点、沸点の一覧表
金属の熱伝導率の一覧表
金属材料の硬度の一覧と比較
鉄鋼材料の種類
炭素鋼と合金鋼の違いと使い分け
合金元素の果たす役割
鉄鋼、炭素鋼、合金鋼の焼入れ深さ
焼入れ性とは

砥石からはじまり、工業技術や工具、材料等の情報を掲載しています。製造、生産技術、設備技術、金型技術、試作、実験、製品開発、設計、環境管理、安全、品質管理、営業、貿易、購買調達、資材、生産管理、物流、経理など製造業に関わりのあるさまざまな仕事や調べものの一助になれば幸いです。

このサイトについて

研削・研磨に関わる情報から、被削材となる鉄鋼やセラミックス、樹脂に至るまで主として製造業における各分野の職種で必要とされる情報を集め、提供しています。「専門的でわかりにくい」といわれる砥石や工業の世界。わかりやすく役に立つ情報掲載を心がけています。砥石選びや研削研磨でお困りのときに役立てていただければ幸いですが、工業系の分野で「こんな情報がほしい」などのリクエストがありましたら検討致しますのでご連絡ください。toishi.info@管理人

ダイヤモンド砥石のリンク集

研磨や研削だけでなく、製造業やものづくりに広く関わりのあるリンクを集めています。工業分野で必要とされる加工技術や材料に関する知識、事業運営に必要な知識には驚くほど共通項があります。研削・切削液、研削盤、砥石メーカー各社のサイトから工業分野や消費財ごとのメーカーをリンクしてまとめています。

研磨、研削、砥石リンク集